2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゴーシェ病遺伝子変異によるパーキンソン病促進のメカニズム
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23659462
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
橋本 款 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (50189502)
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Keywords | シヌクレイン |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)などのシヌクレイノパチー神経変性疾患の病態においてαシヌクレイン(αsyn)が、神経変性の促進に関与するのに対して、αsyn と相同性の高いβsynはαsynの凝集を抑制し神経保護的にはたらくことが知られている。しかしながら、興味深いことに、2004年に家族性及び孤発性のDLBの症例において、変異型βsyn (V70M, P123H)が報告され、βsynの変異は病的な機能変化を引き起こし、神経変性を促進する可能性が推定された。これらをふまえ、本研究では、変異型βsyn(P123H)に着目し、変異型βsynP123H過剰発現型トランスジェニック(Tg)マウスを作製し、免疫組織化学により解析したところ、複数のラインにおいて、1年齢マウスの大脳基底核にβsynP123H/α-syn陽性封入体形成が認められた。封入体はGAD65/67、GABA,に陽性を示したことから、GABA神経に形成されていると考えられた。電子顕微鏡像では、封入体は神経軸索終末端が肥大し、シナプス小胞が蓄積した構造を呈し、多胞体やオートファゴソーム構造が観察され、オートファジー・リソソーム系異常の関与が推察された。この結果はPDとゴーシェ病などのリソソーム蓄積病において一部共通する病理像がみられるという最近の知見に一致するものであり、さらなる研究を推進している。生化学的には、Tgマウス脳においてβsynP123H/αsyn蛋白の可溶性の低下、行動解析では、若齢(6-7ヶ月)から自発運動量の減少が認められ、高齢(14-15ヶ月)では、平衡運動能力の顕著な低下もみられた。これらの結果より、変異型βsynは大脳基底核GABA神経系の軸索病変を特徴とした病理作用 (オートファジー・リソソーム系異常など)を呈し、αsynとは異なる機構で神経変性に寄与することを示唆するものである。
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Research Products
(4 results)