2011 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞に発現する甘味受容体を標的とした新たな創薬戦略の確立
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23659466
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | インスリン / β細胞 / 甘味受容体 |
Research Abstract |
本年度は、膵β細胞を用いた検討を行い、細胞レベルでもっとも有効なアゴニストを明らかにする事を目的とした。その目的のために、まずβ細胞株であるMIN6細胞を用いて、検討を行った。本研究の目的に鑑み、様々な甘味受容体アゴニストの作用をインスリン分泌、細胞死の抑制を指標に検討し、両作用をバランスよく発揮するアゴニストの探索を行った。対象とした甘味受容体アゴニストとしては、人工甘味料であるスクラロース、アセスルファームK、サッカリンと、甘草由来の天然の甘味料であるグリチルリチンを用いることにした。こられのアゴニストの作用を解析した結果、インスリン分泌においてはアセスルファームKがもっとも強い作用を示した。効力はアセスルファームK>スクラロース>グリチルリチン>サッカリンの順であり、サッカリンがもっとも弱い作用を示した。一方、細胞死の抑制作用という点においては、アセスルファームKの作用は最も弱く、実際には抑制作用はほとんどなかった。もっとも強い作用を示したのはスクラロースとサッカリンで、効力はスクラロース=サッカリン>グリチルリチン>アセスルファームKの順であった。従って、「インスリン分泌を促進し、かつ細胞死を抑制する」という観点からは、バランスよく両方の作用をもつスクラロースがもっとも有効であった。細胞内シグナルという観点からは、細胞死の抑制作用は、細胞内サイクリックAMP(cAMP)の増加作用とよく相関した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は概ね順調に遂行されているから。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞株MIN6を用いた検討により、インスリン分泌とβ細胞死の抑制作用をもつ甘味受容体アゴニストが明らかになった。次年度はその作用を単離膵ラ氏島を用いた検討によって確認する。さらにラットを用いたin vivoの検討を行い、個体レベルで「インスリン分泌刺激能とβ細胞死抑制作用」を併せもつアゴニストを同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物(ラット)の購入、インスリン測定用のキット類の購入などの消耗品費が中心である。さらに成果発表のための旅費(学会出張)や論文発表のための印刷代などを予定している。
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Research Products
(2 results)