2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群と非アルコール性脂肪肝炎の発症機構
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23659470
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30294408)
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Keywords | 脂肪肝 / インスリン抵抗性 / 小胞体ストレス / 肥満 / メタボリックシンドローム / DNAメチル化 / phosphatidylcholine / phosphatidylethanolamine |
Research Abstract |
【目的】2型糖尿病動物モデルマウスのインスリン標的臓器の発現プロファイル解析によって肥満において発現が亢進する遺伝子を検索しPhosphatidylethanolamineNmethyltransferase(Pemt)を同定した。PEMTは肝細胞の小胞体に局在するphosphatidylcholine (PC)生合成酵素であり、Pemt経路はPC合成のマイナー経路として知られている。本研究ではPemtのメタボリックシンンドロームにおける意義について検討した。【方法】Pemtノックアウトマウスを作製して高脂肪高蔗糖(HF)食で飼育して検討した。【結果】5週̃25週までHF食で飼育すると、Pemt+/-, Pemt-/-の体重増加はPemt+/+と比較してそれぞれ17%,̃22%抑制された。内臓脂肪重量もPemt-/-ではPemt+/-とPemt+/+と比較して有意に減少し、また脂肪細胞サイズの縮小も認められた。糖負荷試験およびインスリン負荷試験を行うと、Pemt+/+マウスに比べて、Pemt+/-マウスでは糖代謝の改善が認められ、さらにPemt-/-マウスでは、より強いインスリン抵抗性の改善と血糖の低下が認められた。ところがPemt-/-では著しい肝脾腫を呈し、肝組織では大脂肪滴や細胞浸潤・アポトーシス細胞や強い線維化を伴う脂肪肝炎・肝硬変を呈し、ALTが上昇していた。高脂肪食飼育Pemt-/-マウス肝臓ではDNAメチルが亢進していた。一部のマウスでは腫瘤形成を認め、60週齢まで観察すると100%のPemt-/-の肝臓に多発性の腫瘤が出現し、90週齢では発癌も認めた。【結論】Pemt阻害は肥満における体重や脂肪増加の抑制に対しては有効であるが、内臓脂肪および肝組織の脂質分布異常をきたし、腫瘤形成を伴う著しい脂肪肝炎を呈することが明らかとなった。
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Research Products
(15 results)