2012 Fiscal Year Research-status Report
疾患モデル動物における小胞体ストレスから細胞死に至るプロセスの解析
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23659475
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40203707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 寛 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50422770)
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Keywords | オートファギー |
Research Abstract |
家族性中枢性尿崩症モデルマウス(FNDIマウス)に間歇的脱水負荷(1週間に48時間の絶水)を16週間加えると、視床下部視索上核におけるバゾプレシン(AVP)ニューロンが30-40%減少することがAVPの抗体、mRNAに対するプローブを用いた免疫染色法、in situ hybridization法により確認された。AVPニューロンの脱落はグリアのマーカーであるGFAPの免疫染色にても示された。電子顕微鏡を用いた検討では間歇的脱水負荷4週間間にてAVPニューロンの小胞体が隔離膜で囲まれていることが確認され、さらに歇的脱水負荷16週間ではAVPニューロンの細胞質が空胞化していた。一方、電子顕微鏡を用いた検討ではAVPニューロンの核の形態は比較的保たれていた。AVP heteronuclear RNAに相補的なプローブを用いたin situ hybridizationにより、AVP遺伝子転写活性が歇的脱水負荷16週間でも保たれているのが確認された。以上の結果はFNDIにおけるAVPニューロンの脱落はアポトーシスよりもオートファギー細胞死によるものの可能性が示唆された。次にマウス視床下部で小胞体ストレスがオートファギーを本当に誘導しうるのかを調べる目的で、オートファギーが惹起されたときにGFPが可視化されるGFP LC3トランスジェニックマウスを用いて視床下部器官培養を行ったところ、培養液中に小胞体ストレッサーであるタプシガルギンを加えると視床下部切片においてGFPが可視化されることが確認された。以上より、FNDIでは変異タンパクの蓄積が小胞体ストレスを誘導し、小胞体を対象としたオートファギーが惹起されることによりAVPニューロンの細胞死が生じる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間歇的脱水負荷によりFNDIマウスのAVPニューロンが脱落することが確認できたこと、電子顕微鏡を用いた検討でオートファギーの関与が明らかになったこと、GFP LC3トランスジェニックマウスを用いた検討で小胞体ストレスがオートファギーを誘導しうることを示すことができたことより、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
電子顕微鏡を用い、さらに詳細にAVPニューロンの形態の変化を観察する。 GFP LC3マウスを用いた視床下部器官培養で、タプシガルギン以外の小胞体ストレッサー(トニカマイシンなど)を用いて、GFPの発現を観察する。 GFP LC3マウスとFNDIマウスを交配し、FBDIマウスにおけるオートファギーの経時的変化を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ノックインマウス、トランスジェニックマウスの継代、繁殖。 マウス視床下部器官培養、in situ hybridization、免疫染色、ウエスタンブロットの各試薬。 学会発表、論文投稿の費用。
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