2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子変異ラット作製システムを用いた内分泌代謝病態モデルラットの開発と解析
Project/Area Number |
23659476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 一和 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00172263)
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Keywords | 疾患モデルラット / エネルギー代謝 / 脂肪細胞 / レプチン |
Research Abstract |
レプチンは1994年にob/obマウスの原因遺伝子産物として同定され、以来、ob/obマウスを中心にレプチンの研究が進められてきたが、これまでにレプチン欠損ラットは存在しなかった。今回我々は京都大学医学部動物実験施設で開発された新規DNA スクリーニング法(MuT-POWER)と凍結精子アーカイブからの個体復元技術(ICSI)を利用したENUミュータジェネシスによる標的遺伝子変異ラットの効率的な作製システムを用いて、レプチン遺伝子にナンセンス変異を有する事実上のレプチンノックアウトラットLepmkyo/Lepmkyoラットの開発に成功した。従来レプチン受容体を欠損したfa/faラットは存在したが、レプチン投与によりレプチン作用を観察できるレプチンシグナル欠損ラットは初めてであり、今後、マウスとの比較によりレプチン作用の種族差の解明が期待される。 また、我々は上記の方法を用いて、60番目のアミノ酸が終止コドンとなる点変異(T239A)をseipin遺伝子に認めるseipinノックアウト(SKO)ラットを作製した。Seipin遺伝子異常は全身性脂肪萎縮症の原因であるが、seipin蛋白質の機能は殆ど解明されていない。SKOラットでは全身の白色脂肪組織の消失が認められ、白色脂肪組織の発生にseipinが必要であることが証明された。またSKOラットの精巣では精子の著しい低形成が認められ、精子形成におけるseipinの重要性が明らかとなった。さらにSKOラットでは学習記憶の低下が認められ、中枢神経系の正常発育におけるseipinの関与も示唆された。以上、seipinは白色脂肪組織の発生のみならず多彩な生理作用を有していることが明らかとなった。
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Research Products
(17 results)