2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659481
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Research Institution | 公共財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
原 孝彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 副参事研究員 (80280949)
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Keywords | CXCL14 / ケモカイン / CXCR4 |
Research Abstract |
CXCL14-KOマウスと野生型マウスの肝臓・脂肪組織から代謝中間体を有機溶媒で抽出し、メタボローム解析に供した結果、CXCL14-KOマウスでは肝臓のAcetyl-CoAやMalonyl-CoAレベルが有意に低下していることが判明した。CXCL14-KOマウスの肝臓では絶食後のケトン体レベルが2倍以上高かったことも、脂肪酸合成におけるCXCL14の重要性を示唆する。上記の知見と合致して、CXCL14-KOマウスでは脂肪代謝を制御する転写調節因子のmRNA発現レベルが顕著に低下していた。 CXCL14活性化物質の探索については、CXCL14を高発現するマウス臓器からのアフィニティー精製を試みたが、成功には至らなかった。それを達成するには、まずCXCL14受容体を構成する分子を同定する必要があった。CXCL14応答性のTHP-1細胞株を用いて候補GPCRのノックダウン実験とcDNA rescue実験を行った結果、CXCL14のリガンド結合受容体がCXCR4であること、そしてもう一種類別のGPCR(仮名GPR14)がCXCL14と相互作用することを発見した。CXCR4-KO、あるいはGPR14-KOマウスから調製した未成熟樹状細胞様細胞では、CXCL14走化性とCXCL14刺激後のMAPキナーゼリン酸化反応が有意に減弱していた。興味深いことに、CXCL14は代表的なCXCR4リガンドであるCXCL12の活性を交叉阻害した。GPR14 mRNAの発現は肺・子宮・味蕾などの粘膜系組織で強く、CXCL14 mRNAとオーバーラップしていた。以上の結果により、CXCL14のシグナル伝達にはCXCR4とGPR14の両者が使われていると結論した。GPR14と相互作用する成分がCXCL14の活性と密接に関連しているものと推測される。
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