2011 Fiscal Year Research-status Report
可溶性T細胞レセプター修飾分子を用いた革新的がん治療法の開発
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23659489
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安川 正貴 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60127917)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / 細胞障害性T細胞 / T細胞レセプター / WT1 / Aurora-A kinase |
Research Abstract |
がん特異的T細胞クローンからT細胞レセプター(TCR)遺伝子を単離し、そのタンパク質発現ベクターを構築する。さらに、TCR分子を可溶化し、それらを分子修飾することによって、がんの新たな診断法ならびに治療法を開発する目的で研究を進めた。その結果、以下の成果が得られた。1.白血病ならびに多くの固形がんに高発現しているWT1およびAurora-A kinase特異的CTLクローンを樹立した。これらのCTLクローンの機能解析を進め、白血病幹細胞をHLA拘束性かつ抗原特異的に傷害することを証明できた。2.さらに、これらのCTLクローンからTCR遺伝子を単離し、その発現レトロウイルスベクターを構築した。さらに、内在性TCRの発現を抑制し、効率よくTCRを発現できるsi-TCRベクターを初めて構築した。3.WT1およびAurora-A kinase特異的TCR遺伝子導入人工CTLは、親CTLクローンと同様に、白血病細胞および肺がん細胞をHLA拘束性に傷害したが、造血幹細胞を含め、正常細胞には影響を及ぼさないことが、in vitroならびにヒト化マウスin vivo実験系で証明された。4.TCR遺伝子のCDR3部位にランダムな遺伝子変異によるアミノ酸置換を導入し、結合力が約100倍上昇する人工TCR分子を作成した。現在、このTCR分子の大量生産と分子修飾を進めている。 以上の結果から、がん特異的TCR分子に様々な分子修飾することによって、CTL感受性を知ることや、CTL輸注によらない新たな免疫療法が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である腫瘍特異的CTLクローンの樹立とTCR遺伝子の単離に成功した。さらに、TCR遺伝子改変を行い、結合力が高いTCR分子が得られたことは当初の計画通りの進行である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行しているがん特異的TCR遺伝子導入人工CTLの機能解析をさらに進め、臨床応用に結び付ける計画である。さらに、新たなCTLクローンの樹立も試みる計画である。他方、高い結合力を有するTCRに蛍光分子やトキシンの結合を試みる計画である。この研究計画推進に当たっては、英国ベンチャー企業であるImmunoCoreとの共同研究を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記、実験計画を遂行するのに必要な各種消耗品に充てる計画である。また、研究成果を国内外の学会で発表するための旅費に充当する予定である。
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Research Products
(11 results)