2011 Fiscal Year Research-status Report
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23659499
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中尾 篤人 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80317445)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 医療・福祉 |
Research Abstract |
「体内時計」が神経-内分泌-免疫系の相互作用に関与することを明らかにするため、平成23年度は、視交叉上核("中枢時計")がIgE依存性の即時型皮膚アレルギー(脱顆粒)反応の日内変動に果たす役割について検討した。 この目的のために、視交叉上核を機械的操作によって破壊したマウス及び擬似的手術を施したコントロールマウスを作成し、IgE依存性の即時型アレルギー反応であるPCA反応の日内変動への影響について検討した。 その結果、視交叉上核を機械的に破壊したマウスでは、コントロールマウスと異なり、PCA反応の概日リズムが消失していること、血中のMCP-1濃度の変化の概日リズムも減弱していることが観察された。また、視交叉上核を機能的に失調させた"慢性時差ぼけマウス"においても同様の結果が観察された。 以上の実験事実から、視交叉上核がIgE依存性の即時型皮膚アレルギー(脱顆粒)反応の日内変動に調節的な役割をもつことが示された。本知見は、体内時計の変調によってIgE依存性のアレルギー反応が常に過敏な状態になってしまうことを示唆しており、患者さんの生活リズムを指導することでアレルギー症状を改善することについての科学的根拠を与えるものである。本研究成果は、平成23年度の日本アレルギー学会学術総会にて発表するとともに現在、英文雑誌に論文投稿中である。以上から、平成23年度の本研究課題の研究目的は当初の申請通りほぼ順調に達成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に概要に示したように、平成23年度の研究目的であった視交叉上核("中枢時計")がIgE依存性の即時型皮膚アレルギー(脱顆粒)反応の日内変動に果たす役割について明らかにすることができた。また学会は発表、論文投稿についても順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の申請どおり、平成24年度の主たる研究目的であるマスト細胞("末梢時計")がIgE依存性の即時型皮膚アレルギー(脱顆粒)反応の日内変動に果たす役割についてマウス実験を用いて明らかにする予定である。その後は、体内時計に介入することでアレルギー反応を改善することができるか否かについて検討する予定である。 平成23年度の研究費のうち124,643円が平成24年度に繰り越しとなった。これは、当初予定していた消耗品(物品費)の価格が、我々と業者との交渉により一部購入経費の削減が可能となったためである。繰り越しになったこの研究費は、当初の研究費とあわせて消耗品(物品費)購入のための支出に当てる予定である。 また研究計画は順調に進展しており、平成24年度に大きな研究計画の変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の主たる研究目的であるマスト細胞("末梢時計")がIgE依存性の即時型皮膚アレルギー(脱顆粒)反応の日内変動に果たす役割についてマウス実験を用いて明らかにするためにマウス購入費に約30万円、解析用試薬、器具などに約80万円、旅費に約20万円(平成24年度日本アレルギー学会学術集会、日本免疫学会学術集会への出席:いずれも大阪で開催)を使用する予定である。
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