2011 Fiscal Year Research-status Report
精神発達分子同定のための次世代シーケンサーを用いた一卵性双生児比較ゲノム解析
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23659519
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 敦 国立遺伝学研究所, 生物遺伝資源情報総合センター, 特任准教授 (10267495)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / 精神発達 / シーケンサー / 双生児 |
Research Abstract |
【具体的内容】平成23年度に実施した研究成果は以下の通りである。 次世代シーケンサーにより双子間の配列差異の同定を行った。具体的には、双子から採取した皮膚線維芽細胞より抽出したDNAを次世代DNAシーケンサー(HiSeq2000)を用いて、ヒトゲノム全長の塩基配列を決定した。さらに、得られた配列データを、バイオインフォマティックス技術(マッピングやアセンブリ)を用いて比較し、塩基配列の一卵性双生児間不一致箇所(一塩基多型や構造多型など)を検出した。マッピングやアセンブリについては、おもにBWAやSOAPdenovoなどのプログラムを用いて実施し、多型の検出については、種々のプログラムにより候補領域の同定を試みた。 その結果、調べた限り、双子は同一の配列を有してた(リードカバレッジは、双子の姉は43.3x、双子の妹は38.5x)。マッピング結果は同一であった(双子いずれもユニーク配列75%、マルチ配列8%、重複配列12%、アンマップ配列6%)あり、次世代シーケンサー解析で示唆された65カ所の双子間差異SNPは、確認の結果、再現性を得られず、結局、線維芽細胞においては「双子間のゲノム配列差異は見いだされない」と結論づけた。この結果は、近年の他のグループからの結果と一致していた。【意義】一卵性双生児で片方だけ発症(重症)の場合、双子間で何らかの遺伝子の働きの違いが疑われる。このような遺伝子を特定するために、双子の片方だけに変異が入っている遺伝子を同定することを考え、双子間のゲノム配列の完全比較を行った。本研究の意義は、以前はかなわなかった遺伝子の見いだし方を最新技術である次世代シーケンサー技術が可能にすることを、実証することである。【重要性】本研究の重要性は、本研究ストラテジーの成功により、他の疾患の双生児に適用することで、種々の疾患関連遺伝子の同定に発展が期待できることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度は、当初の計画通り、次世代シーケンサーによる対象の一卵性の完全塩基配列比較を完了することができた。しかしながら、その結果、当初の仮説のとおりの双子間での塩基配列差異(片方だけが変異を示す遺伝子の同定)を見いだすことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究では、期待通りの結果を得ることができなかった(双子間重症度差異決定要因となる遺伝子の同定はなされなかった)。このような我々の結果は、「双子間塩基配列差異を見いだした」との初期の報告Am J Hum Genet 2008)を支持せず、「双子間に差異と見られなかった」とするごく最近の報告(という報告(Twin Res Hum Genet 2010; Eur J Hum Genet 2011)を支持するものとなった。 しかしながら、差異が見いだせなかったのは、材料の選定が適切でなかったとの可能性がある(解析対象材料は、皮膚線維芽細胞)。本研究の対象双子がレット症候群(自閉症疾患)であることから、脳内(神経細胞内)での後天的なレトロトランスポゾン配列の挿入差異(Nature 2010;Cell 2010)が見いだされ、これが双子間での精神・神経症状差異を生み出している可能性がある。次年度の平成24年度は、この可能性の追求のため、患者の皮膚線維芽細胞から樹立したiPS細胞を神経分化させ、次世代シーケンサーにより、レトロトランスポゾン配列の挿入差異の有無を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は以下の目的で使用する計画である。1. 物品費:次世代シーケンサー解析に必要な試薬、材料となるiPS細胞調製のための培養関連試薬、同定された遺伝子の発現解析に必要な試薬購入費用等2. 旅費:研究打合せに要する旅費、本研究の成果発表のための学会参加のための旅費3. 人件費・謝金:実験の補助等4. その他:研究成果発表費用(学会誌投稿料等)
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Spread of X-chromosome inactivation into chromosome 15 is associated with Prader-Willi syndrome phenotype in a boy with a t(X;15)(p21.1;q11.2) translocation.2012
Author(s)
Sakazume S, Ohashi H, Sasaki Y, Harada N, Nakanishi K, Sato H, Emi M, Endoh K, Sohma R, Kido Y, Nagai T, Kubota T.
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Journal Title
Hum Genet
Volume: 131
Pages: 121-130
Peer Reviewed
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[Journal Article] The protocadherins, PCDHB1 and PCDH7, are regulated by MeCP2 in neuronal cells and brain tissues: implication for pathogenesis of Rett syndrome.2011
Author(s)
Miyake K, Hirasawa T, Soutome M, Itoh M, Goto Y, Endoh K, Takahashi K, Kudo S, Nakawaga T, Yokoi S, Taira T, Inazawa J, Kubota T
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Journal Title
BMC Neurosci
Volume: 12
Pages: 81(電子版)
DOI
Peer Reviewed
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