2011 Fiscal Year Research-status Report
難治性川崎病における血小板蛋白の網羅的解析と新しい標的治療のための萌芽的検討
Project/Area Number |
23659526
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60189602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 誠一郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40405246)
中村 明宏 京都府立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50313854)
秋岡 親司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60598093)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 川崎病 / 臨床プロテオミクス / バイオマーカー探索 / 血小板 |
Research Abstract |
免疫グロブリン大量療法に対する反応不良(IVIG不応)が後遺症としての冠動脈病変形成に関与する川崎病において、血小板は活性化し、数的な減少がIVIG不応のリスクであることが知られている。本研究では血小板およびその活性化小胞であるマイクロパーティクルの質的な変異が難治性病態に関わるとの仮説のもと、蛋白複合体形成からの候補分子の選定を目的に、非変性状態での二次元電気泳動を用いた血小板蛋白の解析を行う。平成23年度は、非変性泳動法としてブルーネイティブPAGE法を用い、実験系の確立を目指した。クエン酸血漿から常法に従い血小板を分離、蛋白を可溶化の後、非変性ゲルで一次元の泳動の後SDS処理の上でSDS-PAGE分離を行い、銀染色でスポットを可視化、プロファイリングマップを作成した。可溶化のプロセスではCHAPS、コール酸、DDMを用いた検討を行い、類似のプロファイルを認めたため、以後はDDMを用いて解析した。プロファイリングパターンは以前行った血清での解析結果と類似していた。川崎病患者と対照患者との比較では主に低分子蛋白群の分布に差異を認め、疾患特異的変化を反映した結果である可能性が示唆された。さらに同一患者での計時的変化あるいはIVIG有効例と不応例患者間での比較を行うことで、病態を反映した候補分子の選定が可能であると予想される。一方、conventional 2DEと比べ検出スポット数は少なく、また蛋白複合体解析の視点からメジャー蛋白除去を行っていないためスポットの明瞭化に限界があった。メジャー蛋白除去やカラム精製などでこれら問題点の解決をはかり、データの再現性を確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロテオミクス解析では技術的観点から確認実験を構築することが難しい。データの再現性確認のため、メジャー蛋白除去あるいはカラム精製を行い再解析する必要があり、平成23年度の到達目標はいまだ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
川崎病の病態解明およびバイオマーカー探索のため、血小板における活性化シグナル検出の観点からのリン酸化蛋白の検出を行う。固定化金属アフィニティークロマトグラフィーIMACを用いた方法でリン酸化ペプチドを選択的に捕捉し、脱リン酸化の後、MALDI-TOF/MS解析を行う。実験系確立の後、川崎病患者と対照者の群間比較、川崎病患者での経時的変化、IVIG反応例と不応例の比較検討を行い、先にブーネイティブPAGE法で得られた分子群との比較を行い、真に病態に関与する分子を選定する。なお、今年度の人件費支出にあたり、源泉税計算の過誤があり、1円の差額が生じたが、金額が少ないため、次年度の研究推進に影響は無いと考える。また大学の人事管理部門、給与管理部門との連絡を密に取り、次年度の計算ミスが無いように管理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほとんどの経費は消耗品つまり泳動に用いる試薬やゲル、蛋白精製の試薬、カラム、ビーズ、質量分析に必要なマトリクスに使用する予定である。また、研究成果発表のための学会参加に伴う旅費交通費、また進捗状況に応じて研究補助員を雇用する人件費に一部を充てる。
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