2011 Fiscal Year Research-status Report
GM2ガングリオシドーシスの新規バイオマーカーの開発
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23659527
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
櫻庭 均 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60114493)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GM2ガングリオシドーシス / テイ-サックス病 / ザンドホッフ病 / GM2ガングリオシド / リゾ-GM2ガングリオシド / バイオマーカー |
Research Abstract |
遺伝性難病であるGM2ガングリオシドーシス(テイ-サックス病およびザンドホッフ病を含む)の診断や治療評価に役立つバイオマーカーを開発する目的で研究を行い、同疾患の患者の脳に蓄積する糖脂質GM2ガングリオシド(GM2)の誘導体であるリゾ-GM2ガングリオシド(lyso-GM2)に注目した。研究初年度は、脳組織や血液中のLyso-GM2を迅速かつ簡便に測定するための方法の確立を目指した。野生型マウスおよびGM2ガングリオシドーシス・モデルマウス由来の脳ホモジネートと血液を試料として、クロロホルム・メタノール法で脂質画分を抽出した。得られた脂質画分を乾固し、水を加えて超音波処理し、ブタノール抽出、さらにメタノール抽出を行い、lyso-GM2を含む画分を分離した。この画分にオルト-フタルアルデヒド試薬を加え、lyso-GM2の蛍光誘導体化を行った。蛍光誘導体化したlyso-GM2を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法で定量する方法を作製した。この方法で同定される物質が真にlyso-GM2であることを確認するため、脂質抽出画分を薄層クロマトグラフィーで展開し、lyso-GM2を分取し、これをMALDI-TOF質量分析機で解析した。その結果、HPLC法で測定した物質がlyso-GM2であることが確認された。本法を用いた分析で、GM2ガングリオシドーシス・モデルマウス由来の脳組織および血液中のlyso-GM2濃度が、野生型のそれに比べて著しく増加していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づき、研究初年度は、脳組織や血液中のlyso-GM2を測定する方法を確立することを目標に研究を行った。今後、臨床試料を用いることを考慮し、迅速性と簡便性に優れたHPLC法を用いたアッセイ系を作製した。このアッセイ系で測定している物質が確かにlyso-GM2であることを質量分析法でも確認した。これらの結果から、研究は予定通りに進行したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に、脳組織や血液中のlyso-GM2を定量する方法を確立した。この方法を利用して、研究第2年度には、脳組織および血液中のlyso-GM2濃度が高値を示したGM2ガングリオシドーシス・モデルマウスに組換え酵素を投与した場合、治療効果に相関して、lyso-GM2濃度が低下することを確認する。これにより、lyso-GM2が治療評価のマーカーとして役立つか否かを判定する。研究最終年度は、GM2ガングリオシドーシス患者および対照者の血液を試料として、lyso-GM2濃度の測定を行い、これが、臨床において診断のバイオマーカーとなり得るか否かを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
lyso-GM2測定のための装置は、既存のものを用いるため、研究費は、主にlyso-GM2測定や酵素活性測定のための消耗品費にあてる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Lyso-GM2 ganglioside: A possible biomarker of Tay-Sachs disease and Sandhoff disease.2011
Author(s)
Kodama T., Togawa T., Tsukimura T., Kawashima I., Matsuoka K., Kitakaze K., Tsuji D., Itoh K., Ishida Y., Suzuki M., Suzuki T., Sakuraba H.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 6
Pages: e29074
DOI
Peer Reviewed
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