2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的スクリーニングによる肺炎クラミジア抗原の分子探索とワクチン開発の展開
Project/Area Number |
23659528
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
尾内 一信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80351899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 文雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40153077)
三浦 公志郎 九州女子大学, 家政学部, 教授 (30284243)
簗取 いずみ 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40454847)
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Keywords | 肺炎クラミジア / 血清学診断法 |
Research Abstract |
現在、市販されているELISAキットでは、肺炎クラミジア抗原として基本小体由来の外膜蛋白質やLPSが利用されているが、抗原の違いにより擬陽性やキット間で診断結果に矛盾を生じることがある。また、主要外膜蛋白質等に対する中和抗体の作製を試みるも、十分な予防効果を得られず、確かな予防法の確立がなされていない。そこで、本研究において、新たな診断用抗原、中和抗体の候補となる肺炎クラミジア分子の探索を行い、患者血清によって認識される合計58個の肺炎クラミジア抗原を見出していた。これまでに、肺炎クラミジア感染の診断や中和抗体の候補として使用・検討されてきた分子は、肺炎クラミジア菌体表面に大量に存在する分子であった。しかし、本研究により、患者血清中に存在する抗体の中には、肺炎クラミジアが宿主細胞へ注入するエフェクター分子に対する抗体も含まれていることが明らかになった。そこで、いくつかの分子に標的を絞り、これらの分子がどのような機能を有し、また感染のどの時期に発現している分子であるかの検討を進めた。その中で、肺炎クラミジア蛋白Fke034は、感染後、わずか1時間以内に宿主細胞へと移行し、その後約24時間宿主細胞内で作用した後、宿主細胞からは消失する。この分子は、感染初期に積極的に産生され、感染を成立させるために必要な分子であることが推測される。また、Fke063は感染後12時間ころに宿主細胞へ注入されるエフェクター分子であるが、肺炎クラミジア菌体表面にも存在していることが判った。そこで、このFke063に対する抗体を作製し、菌体と混合後にヒト細胞へ感染させたところ、感染効率が約半分に低下することを見出した。これらの分子をさらに解析し、また、現在解析を行っていない分子についても解析進めることとで、感染時期特異的な診断方法の開発、新規予防法の開発へつなげることができると期待される。
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