2012 Fiscal Year Research-status Report
胎児に対する新規の同種異系幹細胞移植システムを用いた治療戦略の創成
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23659537
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
林 聡 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (60425717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, センター長 (70213486)
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Keywords | 免疫寛容 / 胎児治療 / 細胞移植 / キメラ |
Research Abstract |
前年度に引き続き研究を実施した。マウスを用いた胎児幹細胞移植治療モデルにより、キメラマウスを作成した。このモデルは既に諸研究報告により確立されたものである。このキメラマウスに対し、侵襲の少ないプロトコールを用いた細胞移植によりドナーキメリズムの増幅の可能性を検討した。また、通常の成体マウスでは移植治療の効果が得られないことも視野に、侵襲の少ないプロトコールであることを確認した。ドナーマウス由来の骨髄単核球をBALB/cマウスおよび代謝異常症マウス、筋ジストロフィーマウス胎仔腹腔内もしくは卵黄嚢静脈内へ移植し、その生着率の向上や治療効果を検討した。臍帯血・子宮内膜・月経血などのヒト組織から間葉系幹細胞を誘導し移植に供した。その際、ヒト血清ならびにヒト液性因子のみ、あるいは無血清培地を用いた培養法を確立した。得られたヒト幹細胞に対して、網羅的発現遺伝子解析ならびにモノクローナル抗体を用いた既知の分子発現解析を行った。特に、本年度は、ドナー細胞抗原に対する免疫トレランスについて、ドナー細胞抗原に対するT cell レセプターの発現、皮膚移植あるいは臓器移植による拒絶反応の有無などについて検討を行った。胎児移植治療により治療効果が十分得られるレベルのキメリズムの獲得が可能な治療法の開発胎児治療による治療効果について、生化学的あるいは分子生物学的手法を用いた検討を行った。胎児移植治療におけるマウス骨髄間葉系細胞を用いた細胞治療の応用とその有効性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行のために、細胞を培養するCO2インキュベーター、無菌操作のためのクリーンベンチ、試薬等保存のための冷蔵庫、細胞保存のための液体窒素容器および、−80℃フリーザーを備えている。また、細胞プロファイリングのためにタンパク質および遺伝子発現を解析するためのフローサイトメーター、PCR装置、DNAシークエンサー等も備えており、遅滞なく研究を進めることが可能であった。また、動物実験に関しても、飼育ブロックも割り当てられており、動物への移植実験についても何ら問題はなく遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルで開発した新しい治療法の有効性について胎児移植治療モデルを用いて検討を行なう。また、ヒトの骨髄細胞から間葉系幹細胞の分離を行い、間葉系の細胞(骨、軟骨、脂肪、神経、筋など)への分化能についてin vitroにて検討を行なう。さらに胎児移植治療モデルを用いての間葉系幹細胞の移植を行い、間葉系細胞の分化の有無について検討を行なうとともに、胎児治療としての有効性について検討する。胎児移植治療モデルの作成と、免疫トレランスのメカニズムを解明するため免疫学的手法を用いた研究を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養用試薬・器具、遺伝子解析用試薬を購入する。
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