2011 Fiscal Year Annual Research Report
切断部位特異抗体を応用した水疱性類天疱瘡の新規診断ツール開発
Project/Area Number |
23659538
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西江 渉 北海道大学, 大学病院, 講師 (20443955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 皮膚診断学 / 自己免疫性水疱症 / コラーゲン |
Research Abstract |
本研究の目的は、自己免疫性水疱症である水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid,BP)の病態メカニズムを解明し、新規診断ツールの作製に応用することである。研究方法として、BPの自己抗原である17型コラーゲン(COL17)が病変部特異的に切断される部位を特定し,COL17の病的切断部を特異的に認識する抗体の作製を計画した。病変部特異的なCOL17の切断部位特定には、BPの水疱内容液がCOL17タンパクを切断する点に着目し、リコンビナントヒトCOL17タンパクを作製しBP患者の水疱内容液と反応させる手法を計画した。計画通り、リコンビナントCOL17は極めて高純度に精製出来たが、BP患者水疱内容液によって切断される部位の特定には至らなかった。その原因として、COL17の切断後に生じる120kDのタンパク断片と同じ分子量に多くの交雑タンパクが水疱内容液中に含まれていたためと思われた。そのため、異なるアプローチとして、BP患者抗体の結合によりCOL17の構造が変化し切断が亢進する可能性を想定し、膜通過領域近傍にアミノ酸置換を導入しCOL17の構造変化を誘導させるリコンビナントCOL17を作製し293細胞へ発現させた。その結果、生理的な切断部位とは異なる部位(R507~S508間)でCOL17が切断されることが明らかとなった。切断されたS508断端部位を特異的に認識するラビット抗体(Ab-S508)を作製したところ、AB-S508は全長のCOL17には反応せず、構造変化を伴った結果、切断されるCOL17の細胞外領域のみを特異的に認識した。しかしBP患者皮膚にはAb-S508抗体は反応しなかったため(n=10)、BP患者皮膚では、COL17のR507~S508間切断は生じていないと思われた。今後、異なるアプローチのもとBP患者皮膚においてCOL17が特異的に切断される部位を特定し、新規診断ツール作製に応用していく予定である。
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Research Products
(2 results)