2012 Fiscal Year Research-status Report
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23659543
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松江 弘之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10250424)
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Keywords | がん / 悪性黒色腫 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
がんは一つのがん細胞に由来する細胞集団(クローン)ではなく、いわゆる“がん幹細胞”から分化・増殖し、その過程で遺伝子変異の蓄積を獲得した多様性のあるヘテロな細胞集団であるという“がん幹細胞仮説”が提唱されている。皮膚科領域で最も悪性度の高い悪性黒色腫のがん幹細胞に関しては存在しないという報告や、がん細胞の約30%を占めるという報告がありコンセンサスは得られていない。理論的には「がん根治療法」はがん幹細胞を含むこのヘテロな細胞集団すべてをターゲットとする必要がある。この挑戦的萌芽研究では、このように混乱しているメラノーマ幹細胞を含む遺伝子変異の多様性を持ったがん細胞をまずクローン細胞集団レベルで統計的信頼性が高い包括的、網羅的な解析をする。本研究は、個別的「がん根治療法」を目指した治療法の選択、新規治療ターゲットの発掘などに寄与する発展的プラットフォームの提供を目指す。同一患者でも原発巣、転移巣、再発巣のがん幹細胞が同一かどうかは、 非常に重要な課題である。すなわち、がん幹細胞も変異するかはまだ誰も挑戦していない課題である。もし、がん幹細胞も変異していくようなら、根本的にがん治療戦略を見直す必要がある。あるいは、がん幹細胞が普遍ならば、原発巣、転移巣、再発巣のがん細胞を解析することで、同一のがん幹細胞からどのようにそれぞれ遺伝的に変異していくかを解析する。平成23年6月23日に課題名「悪性黒色腫におけるがん細胞の多様性の研究」と題し、悪性黒色腫患者からがん組織をこの実験のために使用するための学内生命倫理委員会に生命倫理審査申請書を提出し、承認されたが、本実験に適切な患者が少なく、また同意が得られなかった。来年度は同意を得て研究を進めたい。本年度は当科の検体を用いた別の系で、RNAseqを用いた解析法(かずさDNA研究所)が確立したので、本課題の来年度の稼働を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年6月23日に課題名「悪性黒色腫におけるがん細胞の多様性の研究」と題し、悪性黒色腫患者からがん組織をこの実験のために使用するための学内生命倫理委員会に生命倫理審査申請書を提出し、9月7日に承認された。その後、本実験に適切な患者が少なく、また同意が得られていない。当科の別のプライマリーカルチャーの細胞の実験で、RNAseqを用いた新しい方法で遺伝子発現のばらつきを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、適切な患者から同意を得て、がん細胞のヘテロジェニイティをRNAseqを用いて解析していきたい。その方法論として確立したのちに、細胞数を減らした系、一細胞系などの研究を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本申請研究の申請経費の大部分は、細胞分離、培養、核酸の分離調整、抗体、FACSソーティング費、プラスチック器具、各種アレイ、RNAseqの経費に使用する予定である。場合によっては、研究補助員の給与の一部とする。
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Research Products
(5 results)