2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659543
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松江 弘之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10250424)
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Keywords | がん / 悪性黒色腫 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
がんは一つのがん細胞に由来する細胞集団ではなく、いわゆる“がん幹細胞”から分化・増殖し、その過程で遺伝子変異の蓄積を獲得した多様性のあるヘテロな細胞集団であるという“がん幹細胞仮説”が提唱されている。皮膚科領域で最も悪性度の高い悪性黒色腫のがん幹細胞に関しては存在しないという報告や、がん細胞の約30%を占めるという報告がありコンセンサスは得られていない。理論的には「がん根治療法」はがん幹細胞を含むこのヘテロな細胞集団すべてをターゲットとする必要がある。この挑戦的萌芽研究では、このように混乱しているメラノーマ幹細胞を含む遺伝子変異の多様性を持ったがん細胞を包括的、網羅的な解析をすることを目的とした。我々は、実験系を確立する目的で生命倫理審査と同意を得た皮膚由来の細胞を用いたサンプルで次世代シークエンサーを用いた種々の遺伝子解析を試み、個人差・再現性などを検討している。その間、ベムラフェニブは欧米の悪性黒色腫の半数以上で変異が認められるBRAF変異をターゲットとした分子標的薬で高い効果が報告された(Chapman, P.B.et al., N.Engl.J.Med. 364:2507, 2011)。しかし、日本人では足や爪部など四肢末端部の悪性黒色腫(末端黒子型)が多く、そのBRAF変異を伴わないことが多く、この分子標的治療の適応にならない症例が多いと予想されている。日本人に多い末端黒子型の特異的分子標的薬のターゲットの探索は、非常に重要な課題であるので、ここ数年で非常に進歩を遂げた次世代シークエンサーを用いた、よりターゲットを絞った研究を進める予定であり、平成26年度厚生労働科学研究委託費(革新的がん医療実用化研究事業)研究計画書(新規申請用)に “ゲノム・遺伝子解析による日本人特有の悪性黒色腫の分子標的となる体細胞変異の同定”を平成26年2月13日に応募した。
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