2011 Fiscal Year Research-status Report
蕁麻疹と血管透過性:膜蛋白のプロセシングと分子機構の解明
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23659550
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / 細胞間接着 / シェディング / ヒスタミン / マイクロ流路 |
Research Abstract |
本研究課題は、蕁麻疹の病態を内皮細胞膜蛋白の病的変化と捉え、ectodomain sheddingに基づき血管透過性の亢進を分子レベルで解明する。ヒスタミンによるectodomain sheddingを検討した。濃度及び時間依存性に関して、血管の透過性変化は、ヒスタミン濃度に依存する。通常の平面培養では、1 x 10-4 Mで検討する場合が多い。そこで本申請課題では、VE-cadherinのectodomain sheddingの至適化を行い、ヒスタミンに関する濃度依存性及び時間依存性を検討した。方法はWestern blotによる。細胞は、ヒト新生児皮膚微小血管由来初代培養内皮細胞を用いた。VE-cadherinのN末端またはC末端を認識する抗体を用いて、cell lysate及び培養上清中のVE-cadherinを検出した。この結果、ヒスタミン1 x 10-4 Mを添加したヒト新生児皮膚微小血管由来初代培養内皮細胞では、VE-cadherinのN末端断片が培養上清に検出された。一方、VEG-cadherinのC末端断片がcell lysateに検出された。以上より、ヒト新生児皮膚微小血管由来初代培養内皮細胞の細胞膜表面では、ヒスタミンによりVE-cadherinの切断が起きる。そしてこの切断は、ectodomain sheddingによることが示唆された。ヒスタミンを用いたex vivo透過性試験を検討した。マイクロ流路を作成し、この流路にヒト新生児皮膚微小血管由来初代培養内皮細胞またはHMEC-1細胞を培養した後、ヒスタミンを添加した。この結果、裏打ちする内皮細胞には配向が生じ、細胞間接着が減弱していることが細胞染色により確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、平成23年度に予定した予定した研究計画に沿って研究課題に取り組み、予想された結果を得ている。一方、VE-cadherin切断部位に関する検討は、なお詳細な解析を要する。このため、本研究課題の進捗状況はおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞生物学的な解析を推し進め、マイクロ流路におけるVE-cadherinのectodomain sheddingを検討していく。研究計画は変更することなく、さらに研究課題を遂行する。研究計画に明らかな問題点は生じていないが、次年度はマイクロ流路における透過性試験について、抗ヒスタミン薬を用いた評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロ流路の設計と作成に対して、平成24年度の器具として新たな費用が生じる。また、国内外の学会へ参加するため、出張旅費も計上する必要がある。平成24年度は研究支援に対して謝金も必要である。論文作成も行うため、論文構成に要する費用も平成24年度は計上している。
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Research Products
(6 results)