2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659552
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森田 明理 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30264732)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光線療法 / 免疫抑制 / TH17 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
アレルギー疾患や自己免疫疾患では、抗原特異的な免疫応答反応が惹起され、その発症・増悪に関与している。特定の抗原に対して特異的に免疫寛容が誘導できれば、これらの疾患の本質的な治癒につながる可能性があり、難治性皮膚疾患のみならず、自己免疫疾患まで応用することが可能である。本申請では、皮膚という臓器に、紫外線の波長特異性を利用するユニークなアプローチで、実際の臨床に応用できるレベルでの抗原特異的免疫寛容方法の基礎となる技術を開発することである。遅延型過敏反応のモデルマウスでは、モノクロメーターで、310nmが最も、免疫抑制を起こす波長であることが明らかとなった。また、選択的長波長紫外線 (UVA1)・UVA1-LEDでは、100J/cm2の複数回照射で、遅延型過敏反応を抑制することを明らかとしたが、UVB領域とは異なるメカニズムであり、制御性T細胞の誘導は見られなかった。UVB領域とUVA領域では、照射後の樹状細胞の移動も異なり、それが、免疫抑制の誘導メカニズムに大きな差違をもたらす可能性が示唆されたが、平成24年度に詳細な検討が必要である。臨床での解析を同時に進め、PUVAバスと311nmナローバンドUVB治療が乾癬患者のTh17,Tregについて検討した.PUVAバスにて治療をうけた患者,ナローバンドUVBにて治療をうけた患者,正常対照の末梢血より,CD3,IL-17にて染色しフローサイトメトリーにて解析した.乾癬患者でのTh17が高い群において,Th17の割合は,光線治療前(6.1%)に比べて,治療後(2.9%)で有意に減少した.それに対してTregの割合は,前治療が外用のみの乾癬患者において,治療前(3.5 %)に比べて,治療後(4.5%)で有意に増加した. PUVAバス、ナローバンドUVBによってTh17/Tregの不均衡が是正されることが明かとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では、マウスレベルの研究から臨床レベルに応用する予定であったが、臨床レベルでの研究が先行し、人においても、選択的波長を用いた光線療法によって、制御性T細胞(Treg)の誘導が可能であり、しかも、末梢血中のTH17細胞を減少させた。臨床検体において、十分なTH17/22, Treg, Tcmのモニタリングシステムが確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床レベルで、 PUVAバス・ナローバンドUVBによってTh17/Tregの不均衡が是正されることが明かとなったことから、さらに、そのほかのサイトカインやT細胞マーカーの検討を行う予定である。これらの臨床的に得られた事実から、再度、マウスレベルでの解析を行い、UVB領域における抗原特異的免疫抑制の波長特性の検討、UVA領域における免疫抑制についての解析、UVBとUVAから選択的な波長として2波長を選択的に照射する方法の光生物学的な作用を検討などを確実に進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
すべて、実験に使用する消耗品として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)