2012 Fiscal Year Research-status Report
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23659556
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 秀人 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (90240514)
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Keywords | プロテオグリカン / バーシカン / 遺伝子改変マウス / コンドロイチン硫酸 / グリコサミノグリカン / 細胞外マトリックス / 毛包 |
Research Abstract |
バーシカン(versican、Vcan)は細胞外マトリックス(extracellular matrix、以下ECM)の巨大コンドロイチン硫酸プロテオグリカンで、胎生期や組織改築期の間葉系細胞凝集部位に一過性に高発現し、TGFβ、BMPs等の生理活性物質のシグナル伝達を細胞外で制御する分子と考えられている。本研究の目的は、Vcanのコンディショナルノックアウトマウスの解析を通じて、同分子の毛包形成における役割を解明することである。 Vcan<flox/flox>:ROSA26系とCAG-CreER系を交配させ実験群の調製を試みたが、CAG-CreER:Vcan<flox/flox>マウスは一匹も得られなかった。Vcan発現は心臓形成に必須でありその同分子の完全欠損マウスは胎生致死を示すことから、CAG-CreER:Vcan<flox/flox>マウスは漏出的Cre発現によって胎生致死に至っていると思われた。そこで方針を変更し、Cre発現アデノウイルス(Ad-Cre)を真皮内注入によって感染させ真皮線維芽細胞ならびに毛乳頭細胞におけるVcan発現の欠失を試みたところ、真皮線維芽細胞のVcan発現は欠失できたが毛乳頭細胞ではVcan発現が観察された。 現在、毛乳頭特異的にCreを発現するCor-Creマウスの入手を目指している。一方、Ad-Cre感染による真皮Vcan発現欠失系が確率できたので、同マウス系を用いて創傷治癒過程における同分子の役割を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
毛乳頭におけるVcan発現の欠失が当初の予定とは異なりうまくできていない。現在、Cor-creマウス(Enshell-Seijffers D, et al., Dev Cell, 2010)の入手等を検討中である。 一方で真皮線維芽細胞におけるVcan発現欠失系は確立できたので、創傷治癒や皮膚炎におけるVcanの役割に関する研究を遂行中である。また本研究期間中に本研究関連の研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の如く、毛包細胞特異的にCre酵素を発現させる実験系が不可欠であり、Cor-cre等の入手に努めている。一方、毛包の形成と維持過程における分子群の解析手法は確立済みであり、実験系が確立されれば一気に研究を進めることができる状況にある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Cor-creマウスの入手あるいはAd-Creウイルスの局所感染に関する詳細な条件検討を通じて毛包特異的にVcan発現を欠失する技術を確立する。当該技術が確立されれば支障なく研究は推進できる。
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Research Products
(7 results)