2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子プロモーターのメチル化を用いた自殺予測のためのバイオマーカーの開発
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23659566
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森信 繁 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30191042)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | BDNF / 5-HTT / 自殺 / バイオマーカー / メチル化 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に沿って、自殺予測のためのバイオマーカーの探索を目的とした、下記の研究を行った。 mRNA発現解析:末梢血由来のTotal RNAをもとに、本研究計画で自殺予測のためのバイオマーカーとなりうる可能性の高い5つの遺伝子{Brain-derived neurotrophic factor (BDNF), Receptor tyrosine kinase B (NTRK2), Glucocorticoid receptor (GR), Serotonin transporter (5-HTT), Trans-Golgi network protein 2 (TGOLN2)}のmRNA発現を、real-time PCR法を用いて計測する方法を開発した。 メチル化解析:末梢血由来のDNAを対象に、5-HTT遺伝子のエクソン1上流のプロモーター領域(799 bp)のメチル化解析をMassARRAYを用いて行う方法を開発した。5-HTT mRNA発現に重要な部位であるこの領域のメチル化解析を行う上で、最初に3つのプライマーセット(ゲノム上のprimer position; chr17:28562188-28562778, chr17:28562752-28563086, chr17:28563022-28563221)を用いて解析したが、本方法では第二増幅部分が逆鎖となり適した方法にならないため、新たに2つのプライマーセット(ゲノム上のprimer position; chr17:28562360-28562783, chr17:28562755-28563221)を用いて解析する方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果から、5-HTT遺伝子mRNA発現と自殺念慮やうつ状態とは密接な関係のあることが報告され、5-HTT遺伝子のエクソン1のプロモーター領域のメチル化の解析を試みた研究は幾つかある。しかしながらこの領域の複雑な遺伝子構造から、これまでの方法論ではごく一部のCpGのメチル化のみを解析したり、我々も当初は出来なかった部位を除いた領域のメチル化を解析した報告しかなかった。このため幾つかのプライマー設計を試しながら、MassARRAYによるメチル化解析を行う必要があったために初年度を費やす結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
健康対照者を用いた末梢血由来のtotal RNA及びDNAから、各遺伝子mRNA発現計測やBDNF, 5-HTT遺伝子メチル化の解析が出来るようになったので、今後は自殺企図者や自殺念慮のある入院患者を対象とした研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験試薬費:末梢血からのRNA抽出キット、mRNA発現計測のためのreal-time PCR用試薬と内部コントロール、末梢血からのDNA抽出キット、Bisulfite反応用試薬、MassARRAY用試薬など。 旅費:米国神経科学会議に発表を含め参加して、DNAメチル化とうつ状態や自殺との関連を解析している研究者と情報交換を行う。 その他:英文校正の費用
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Research Products
(2 results)