2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝異常を出発点とする気分障害の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
23659571
|
Research Institution | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
楯林 義孝 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (80342814)
|
Keywords | 大うつ病 / 双極性障害 / 統合失調症 / 死後脳 / ミエリン / 脂肪酸 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 |
Research Abstract |
われわれは Sch15例、双極性障害(BD)15例、大うつ病(MDD)15例、健常対照者15例よりなるスタンレー脳バンク未固定凍結死後脳の提供を受け、前頭極(BA10)及び側頭葉(BA20)のより詳細な死後脳解析を行い、BA10のミエリン化に気分障害特異的な異常がある可能性を見出した(Hayashi et al., 2011, Mol Psychiatry; 1156, Hayashi et al., 2012 PLoS One; Tatebayashi et al.,2012, Transl Psychiatry; e204)。 本課題研究(2年間)では、それらの知見を基に、i) スタンレー凍結死後脳から、セルソーターを用いて様々な細胞核(特にolig2陽性オリゴ系細胞)を分離し、細胞種特異的に網羅的ゲノム解析を行い、ii) 成体ラット脳から分離した高純度培養成体オリゴ前駆(olig2、NG2陽性)細胞(OPC)を用いて、分化や細胞障害時における、脂肪酸合成・分解の基礎的知見の蓄積する計画を立てた。 実際には、i) セルソーター(Aria III; BD社)で細胞分離が出来ることを確認する実験条件をマウスを用いて確立し、ii) 培養成体ラットOPCの脂肪酸分画を、in vivoの脂肪酸分画に近づけることに成功し、今後の研究発展の基礎作りが出来たと考えている。具体的にはAria IIIで、安定的に細胞核分離が可能な条件を見出した。ヒト脳でのチャレンジが可能な状態に近づいて一歩近づいたと考える。また、培養OPCでは、必須不飽和脂肪酸の分画をin vivoに近づけることに成功し、現在、BA10の異常をin vitroでの再現を、試行錯誤を重ねながら行なっている。脂肪酸分画異常を、網羅的にかつ同時に生じる培養条件を探し出す探索研究を開始している。
|