2011 Fiscal Year Research-status Report
ミクロとマクロのシミュレーション線量評価を結合した究極の粒子線治療計画技術の研究
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23659577
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (30354707)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 治療計画システム / マイクロドシメトリ / 線量評価 / 放射線治療 / ホウ素中性子捕捉療法 / モンテカルロ法 / 粒子線治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モンテカルロ法による細胞レベル、DNAレベルの放射線影響解析技術(マイクロドシメトリ技術)と放射線治療の治療計画技術(マクロドシメトリ技術)を結合し、陽子線、重粒子線および中性子線を用いる中性子補足療法(BNCT)等の現存する全ての粒子線照射における等価線量を数値シミュレーションによる計算のみで求め、統一の指標で表現可能な治療計画手法の基盤技術の開発を目指す。研究期間内に生体内での変化を考慮した生物学的効果比(RBE)と物理線量分布を同時に評価可能なモンテカルロ線量計算手法を確立し、治療時の等価線量を客観的に評価することを可能にする。またこの手法を応用し、特に施設毎に線質が異なるBNCT分野において、異施設間の線量と治療効果の直接比較を実現し、さらにビームの生物学的効果を予測した新施設の最適設計も可能にする技術基盤の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のキーテクノロジーとなる放射線照射によって生体に付与される線量を個々の細胞レベルで起こる反応をシミュレーションして評価する技術(マイクロドシメトリ技術)については、基本的なアルゴリズムが完成し検証計算も実施して適切な評価を実施できることが確認できた。これに基づいて本手法に関する特許を取得するための手続きを進めており平成24年5月中にも出願する予定である。また、本手法については論文投稿も行い、査読付き英文誌:Radiation Research誌にアクセプトされ、5月末に出版されることとなった。 またこの計算アルゴリズムを組み合せるモンテカルロ計算コードの開発と、さらにこの計算コードを実装する治療計画システムについても順調に開発を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発した計算アルゴリズムを汎用モンテカルロ計算コードPHITSに組み込んでマイクロドシメトリに基づいて線量を計算する計算コードを整備する。さらにこの計算コードPHITSを、別途研究開発中の治療計画システムのツクバプラン(仮称)に実装し、マイクロドシメトリによって治療計画立案を行うシステムのプロトタイプを構築する。ここで治療計画システムとは患者のCT画像を基に3次元モデルを作成し、このモデルに対して放射線照射のシミュレーションを実行して最適な照射条件を導くソフトウェアである。 新しい線量計算アルゴリズムを組み合わせたツクバプランの検証を行う。検証方法は、人体のCT画像データを準備してツクバプランに読み込ませて計算モデルを作成し、マイクロドシメトリ技術による線量計算を実行する。この計算結果と、従来の手法による線量計算結果を比較し、新しい計算手法による線量評価の妥当性、計算精度及び実用性などの評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に繰り越した研究費:48,180円については、当初、発明したマイクロドシメトリ技術の研究成果を平成24年3月に開催される国内の関連する学会で発表する計画であったが、学会の参加締切(平成23年11月)までに研究成果がまとまらなかったため、平成24年度に関連する学会で発表することとして、繰り越した。平成24年度の研究費の使用計画を以下に示す。●開発した計算アルゴリズムを実装したPHITSを治療計画システム:ツクバプランに組み合わせるためのコーディング作業を役務発注する(800千円)●開発した計算コードを検証するための実験治具消耗品を整備する(100千円)●治療計画システムの検証に用いるPCワークステーションを整備する(300千円)●発明したマイクロドシメトリ技術の研究成果を発表する(550千円)
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