2012 Fiscal Year Annual Research Report
RI標識後に抗体へ導入可能な新規キレート剤の開発と汎用的な標識抗体作製法の構築
Project/Area Number |
23659578
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花岡 宏史 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50361390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 光明 近畿大学, 農学部, 講師 (20433641)
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Keywords | 抗体 / 放射性同位元素 / 有機化学 |
Research Abstract |
抗体に放射性同位元素(RI)を結合させた『RI標識抗体』は標的分子に対して高い親和性を有し、がんに選択的に集積することから、特異度の高い診断、副作用の少ない治療が期待できる。しかし抗体をRI標識するためには抗体へのキレート剤の導入が必要であり、それが大きな障壁となり研究開発が進んでいない。そこで申請者は、抗体自体に修飾を加えることなく、簡便にRI標識することが可能な手法が有用であると考え、RI標識後に抗体に導入可能な新規キレート剤の開発とそれを用いた新規標識抗体作製法を構築することを計画した。 少ない物質量でも高い標識率が得られるキレートを用いることで、本開発のキレート試薬に対して抗体を大過剰に入れることが可能になると考え、本年度は、キレート部位としてDOTAではなくCHX-DTPAを用いることとした。また、新規キレート剤として抗体と速やかに反応する官能基としては、テトラフルオロフェノールエステルを選択した。111Inを用いて、本キレート試薬の標識濃度を検討したところ、低濃度で標識することが可能であった。 一方で、標識後に抗体と結合せずに残ったキレート試薬部分が体内に滞留してしまうと、未精製のまま投与した際に抗体の体内動態を可視化する妨げとなると考えられる。そこで、体内から速やかにクリアランスされるようなキレート試薬の構造を検討した。その結果CHX-DTPAの骨格炭素から伸びるベンゼン環にカルボン酸を導入したキレート試薬よりも、さらにグリシンを結合したキレート試薬の方が速やかに尿中に排泄されることが明らかとなった。 以上よりCHX-DTPA-Bz-Glyが新規キレート試薬の母体として有用であることが示された。
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