2012 Fiscal Year Research-status Report
MRIによる軟骨評価ソフトウェアを用いた変形性股関節症関連因子の解明
Project/Area Number |
23659580
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村木 重之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60240355)
阿久根 徹 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60282662)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401064)
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Keywords | 医療・福祉 / 老化 / MRI / 疫学 / 変形性関節症 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
本年度は、昨年度開発に成功したMRIによる股関節軟骨の軟骨定量評価用解析ソフトウエアおよび軟骨質的評価用解析ソフトウエアを実臨床に導入し、撮像法に関する検討を行った。 関節リウマチの生物製剤治療後に定量評価用の撮像にて股関節の軟骨が再生しているように見える症例が散見されたが、T2 map法にて質的評価を行った場合、T2map値が一定の傾向を示しておらず、変性が進行した軟骨における質的評価用撮像法を再検討した。この結果T2 map法は被験者の直前の運動量と相関することが明らかになった。関節リウマチ患者にて運動量に影響を受けづらい遅延相軟骨造影MRI(delayed gadolinium-enhanced magnetic resonance imaging for cartilage:dGEMRIC)の撮像法追加し、T2 map法との比較を行ったところ、dGEMRICの方が現在の臨床症状と相関が高くなっていることが明らかになった。 dGEMRICは造影剤を使用した撮像であるが、T2map法では明らかに出来ない関節リウマチなどでは、同撮像法の使用を検討する必要があるものと考えられる。我々が開発した「股関節軟骨の軟骨定量評価用解析ソフトウエアおよび軟骨質的評価用解析ソフトウエア」が完成するまでは、実臨床において多彩な疾患に対応可能な撮像法を検討することさえ出来なかったが、本年度は現実的な利用を想定した検証が成功し、大規模データへのシステムの適応が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実臨床へ、ソフトウエアが導入できており疾患に応じた検査体系が確立された。今後は、われわれが構築した大規模コホートより無作為に抽出した120名に対して両股関節MRI撮影を行い、股関節軟骨の定量的、質的データの年代別、性別基準値を確立するとともに、軟骨の量的、質的低下に関連する因子を解明するが、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
レントゲン上股関節OAを認めないにもかかわらず股関節痛を訴える患者の数は膨大であり、股関節痛にはレントゲン写真では検知しえない股関節軟骨の微小な変化が関与していることが示唆されているが、評価体系は発展途上にある。われわれはMRIによる股関節軟骨の軟骨定量評価用解析ソフトウエアおよび軟骨質的評価用解析ソフトウエアの開発に成功しており、本年度追加したdGEMRICを含めた両股関節MRI撮影を構築した大規模コホート(東京都住民コホートの対象者1,350名より120名を無作為に抽出)にて行う予定である。本研究により客観的な軟骨の定量的かつ定性的診断基準を設けることが可能となるほか、これまでには見いだせなかった新たな関連因子を同定する事が可能であり、変形性股関節症ばかりでなく関節リウマチを含めた治療体系の確立や予防対策に大きく貢献するものと期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
我々が構築した大規模コホート対象者1,350例のうち120例に対して、両股関節MRI撮影を施行するにあたり、撮影費、スタッフの雇用、通信費などに研究費を使用する計画である。
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