2011 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病画像診断を目指した保険診療機MRIを用いた老人斑検出法の研究
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23659591
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
米田 哲也 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (20305022)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 位相 / アルツハイマー病 / MRI / アミロイド老人斑 / 老化 |
Research Abstract |
遺伝子改変マウス脳を還流固定したものを用いて、7TMRI上で撮像を行い、当初予定していた老人斑の検出のための位相データを収集した。撮像パラメタは、0.08mm isovoxel を最大空間分解能画像とし、約3時間の撮像で確実な老人斑検出を行った。その結果、明確に老人斑を位相により区分することが可能であることが分かったが、3TMRI上での撮像には撮像時間が長すぎるため、次に0.12mm, 0.16mm isovoxel 画像を同様に撮像し、同時に積算回数を最小2回にまで落とすことにより、理論上信号検出能は3TMRIで約15分程度での撮像と同様になるように検討した。これらの結果、特に0.12mmの場合は十分に3TMRI上で老人の存在を確認することが位相画像上で可能であることを突き止めた。しかしながら、アミロイド老人斑の通常径が約0.5~0.8mmであることを考えると、0.12mmはあまりにも大きすぎるため、この解像力で検出できたものは、非常に大きな0.2mm程度の老人斑が多いと考えられ、医療強度磁場を用いた保険診療機での人の老人斑の直接検出には、やや問題が残されている状態である。 そこで、位相を選択的に取り出し画像上で強調を行うこととした。この方法は先行研究で確立している位相差強調画像化法PADREを用いて、選択的に位相を強調する方法であり、Philips Healthcare社が搭載を予定している技術であるため、これを用いて小さな信号値を強調して画像上に強調することは保険診療適用に向けて現実的と考えた。そこで、手動にて皮質上に関心領域を置き、その信号分布から十分に老人斑に解くと考えられる位相を(とりあえず)目視で決定し、これを基に強調を行ったところ、十分に観測可能な画像を作成することに成功した。次年度以降はこの技術をより正確なものにするため、データを増やしてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究は、現在のところマウスを用いた信号検出検討で、理論上3TMRIと同等な環境下での信号検出が可能であることを、実験データから示せたことと、これらから医療現場で検診の目的であれば許容範囲内と考えられる15分程度での信号検出も可能であると示す事が出来たため、当初目的としていた3TMRI上で人の老人斑を検出できるかを示すという目的の一つは達成できていると考えられるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、現在大学が保有しているアルツハイマー病で亡くなった方の献体脳を、倫理委員会の承諾の下、人用3TMRIを用いた撮像を行い、当該年度で確立した技術が果たして人の脳内の信号を描出するのかを検討する。同時に、PET検査で用いられるPIB化合物を利用して、本技術とPETによる撮像結果が相関するかを検討を行い、高い相関を確認して医療適用に向けた開発を検討する。人の検査は、可能であれば倫理委員会の承諾を得て、本年度中に予備的に開始し、得られたデータ中に信号が見られるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度中に作成した脳ファントム中に、大きなゴミや空気など信号を邪魔するノイズが多く入っていることがあり、これを除くためのクリーンエアーシステムを作成し、実験データの質の向上に努める。また、海外の研究と人用7TMRIを用いた老人斑研究を始めることとしているので、本年度中に渡航し、データを採取する予定である。この他、健常者脳のデータベース作成のため、参加者への謝金なども考えている。
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Research Products
(8 results)