2011 Fiscal Year Research-status Report
電子常磁性共鳴法を用いる複数分子同時イメージング法の開発
Project/Area Number |
23659592
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤井 博匡 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70209013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 美穂 札幌医科大学, 医療人育成センター, 研究員 (10578735)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | EPR / ESR / イメージング |
Research Abstract |
電子常磁性共鳴(EPR)イメージング法は、フリーラジカル等により起こる生体機能情報を非侵襲的に3次元で視覚化できる分子イメージング法の一手法である。本申請では、複数の常磁性プローベ分子を個別に識別し、複数分子の存在状態や体内動態をそれぞれ同時に非侵襲的に視覚化する、全く新しい"複数分子同時イメージング法の開発"に挑戦するものである。この分子イメージング手法を病態モデル動物に適応すると、複数の生体機能情報(例えば、酸素分圧やpH、薬物効果など)を一個の動物個体から同時に画像情報として取得することが可能となる。このような複数分子同時イメージング手法を開発することによって非侵襲的に得られる生体機能情報は、病因の解明や治療薬の開発など幅広い分野での活用が期待されるものである。平成23年度の研究に於いては、「2分子同時イメージングの動物実験での検証」研究を実施した。 我々の研究室では、過去及び現在継続中の基盤研究において、高速電子常磁性共鳴イメージング(EPRI)システムの開発を行っており、現在、小動物用高速イメージングシステムが稼働している。本システムを利用して、動物体内に投与された2種類のラジカルプローベを、同一の個体で同時に視覚化させる画像化手法の確立を目指した。(1)2種類の分子を同時に画像化する手法について: 2種類の安定フリーラジカル分子をスペクトルから識別する手法を採用した。このアイディアが原理的に実現可能なことはファントムを用いることで、個別画像化の実証を行った。(2)動物実験での実証での実証について:二種類のフリーラジカル化合物をマウスへ投与し、マウス頭部でのEPRイメージング画像を撮像し、画像化を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究に於いては、「2分子同時イメージングの動物実験での検証」研究を実施した。藤井の研究室では、過去および現在において継続中の基盤研究において、高速電子常磁性共鳴イメージングシステム (EPRI) の開発を実施しており、現在、小動物用(マウスなど) 高速イメージングシステムが稼働している。本EPRイメージングシステムを利用して、動物体内に投与された2種類のフリーラジカルプローベを、同一の個体で同時に視覚化させる画像化手法の確立を目指した。H23年度は2種類のフリーラジカル分子を同時に画像化する手法について検討を実施した。1本のシグナルであるフリーラジカルと、2本線からのスペクトルを呈するナイトロオキシドの2種類の安定フリーラジカル分子をスペクトルから識別する手法について検討を行った。 このアイディアが原理的に実現可能なことはファントムを用いて検証することが出来た。現在、マウスを用いた動物実験レベルでの実証試験を実施している。 1本線ラジカルによる酸素濃度測定は可能となっており、また、2本線からのラジカルによる画像化実証については進行している。 以上の研究結果から、当初予定に従った順調な進展を見せていると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
【平成24年度】平成24年度では、プロジェクト2での「複数分子同時イメージング法による生体機能の画像化」研究を実施する。(1)プローベの開発:H24年度の研究では、まず生体機能画像化を目指したナイトロオキシドレポーター分子の合成を行い、ファントムでの原理実証研究を行う。プローベの合成については、Khramtsov教授の指示で実施する計画である。同時画像化を目指す生体機能、利用予定のプローベ、そして画像化の可能性とその課題点について、現在検討を進めているところである。(2) 動物実験での実証研究:ファントムによる試験を通過したプローベをマウスに投与し、複数の生体機能同時イメージング実証試験を実施する。マウス頭部MRI画像、脳内移行可能ナイトロオキシドと移行できないプローベを用いたEPRイメージング画像を撮像する。申請者の開発した"高速EPRイメージング手法"を駆逐し、脳内外でのpH・酸素濃度の計測を同一個体で行い、それぞれの情報を視覚化する試みを実施する。炎症モデル動物の利用:組織内pHや脳内酸素濃度が正常マウスと異なる例として、炎症モデル動物を用いた実験も計画する。炎症組織への薬物集積状態の可視化研究も目指している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【平成24年度】平成24年度に実施するプロジェクト2での「複数分子同時イメージング法による生体機能の画像化」研究を実施するに当たっての研究費の使用計画を以下にまとめた。(1)プローベの開発用の経費:生体機能画像化を目指したナイトロオキシドレポーター分子の合成を行うので、試薬購入費を消耗品支出として計上している。(2)イメージングプログラムの開発経費:多分子動時イメージング用には、目的に特化したEPRイメージング用のプログラムが必要である。現在、MatlabおよびLabVIEWを利用したプログラムの開発を進めている。本プログラムの開発費を新しく計上することにした。(3)動物実験での実証研究経費:ファントムによる試験を通過したプローベをマウスに投与し、複数の生体機能同時イメージング実証試験を実施する。実験小動物として、マウス(C57およびBALB/c)での実験を計画しており、動物購入費を計上する。(4)学会参加旅費:平成23年度の成果について、オーストラリアで開催されるISMRM国際学会で発表する。その為の旅費を計上する。
|
Research Products
(1 results)