2011 Fiscal Year Annual Research Report
再生/細胞治療用血液細胞のスフェロイド形成による低傷害・高效率遺伝子導入法の開発
Project/Area Number |
23659609
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片野 尚子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50376620)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / ウイルスベクター / 遺伝子治療 / 細胞療法 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
治療用ex vivo遺伝子導入細胞の製造には、高い遺伝子導入効率と低い細胞傷害性を有する遺伝子導入法が不可欠である。アデノウイルスベクターはこれらの特長を備えたベクターであるが、吸着受容体発現の乏しい血液細胞に対する効力は十分とはいえない。この問題点を解決し、かつ、それがベクターの改変を必要としない手法であれば、その応用性は極めて高い。そこで、本研究においては細胞塊(スフェロイド)細胞塊形成によって細胞単体では発揮されていない接着因子を活性化し、侵入受容体として機能させる可能性を検討し、スフェロイド形成を利用した再生/細胞治療用血液細胞への低傷害・高効率遺伝子導入法を開発することを目的とする。はじめに、ex vivo遺伝子導入細胞としてヒト末梢血単球由来樹状細胞を用いて、樹状細胞モデルによるスフェロイド形成システムの構築を行った。そこで、複数の形成法を試行し、細胞塊の三次元的大きさ・数の決定・細胞表面抗原の発現に関わる培養環境因子の抽出を行った後、EGFP遺伝子組換えアデノウイルスベクターを介した遺伝子導入にて、遺伝子導入効率/遺伝子発現強度、および細胞生存率を測定し、手法の最適化検討を行った。その結果、樹状細胞モデルでは低接着加工処理培養容器、U底、回転振盪の併用は、接着加工処理、F底、回転振盪なしの場合よりも効果的にスフェロイド形成が行われ、かつ、より少ないウイルスベクター粒子数で高い発現が見られることが確認された。このことから、スフェロイド形成の利用が再生/細胞治療用血液細胞への新たな低傷害・高効率遺伝子導入法となり得ることが示された。
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