2013 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の細胞周期離脱・再進入を標的とした治療法開発のためのG0癌細胞モデルの作成
Project/Area Number |
23659616
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片野 光男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
大西 秀哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30553276)
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Keywords | 膵がん細胞 / 細胞周期 / 細胞周期離脱 / 細胞周期再進入 / 低酸素 / Smo / Hedgehogシグナル |
Research Abstract |
臨床癌の多くはG0あるいはG1期にあり分裂は停止した状態にある。このことが細胞周期依存性の抗癌剤へ対する抵抗性機序となっている。一方、手術などの刺激によりG0期の細胞が細胞周期へ再進入し急激な細胞増殖を起こすことにより一気に病期が進行する症例に遭遇する。したがって、G0期癌細胞株を樹立し、細胞周期からの離脱と再進入の機序を解析し、新たな癌治療法を開発することが本研究の目的である。 平成25年度は、①上記長期低酸素耐性膵癌細胞株(2株)を用いて、低酸素環境によるG0/G1期細胞が細胞周期へ再進入する機序の一つとしてSmoの活性化が関与している可能性をin vitroおよびin vivoの系により解析し、一部支持するデータを報告した(Cancer Science,2014)。②現在、低酸素環境におけるSmo活性化の機序をDNAマイクロアレイ解析を中心に解析中である。 本研究を通して、①癌組織の低酸素環境が細胞周期をG0/G1期へと集積させること、②この際にHedgehogシグナル系の起動蛋白であるSmoが活性化されること、③さらにこのSmoの活性化をsiRNA等でノックダウンするとほぼ細胞周期が停止し、④再酸素によりSmoを再活性化することにより細胞増殖能が回復することなどの新知見を見出し、癌局所における細胞周期の制御にSmoが関与するという新たな仮説が生まれた。現在、この仮説を証明するために、低酸素によるSmo発現制御の機序を解析中であり、結果として「Smo蛋白の機能阻害ではなく遺伝子レベルでのSmo発現抑制による腫瘍制御」という新たな研究テーマが誕生した。
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Research Products
(7 results)