2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロRNAによる安全で革新的なリプログラミング法の開発
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23659617
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 秀始 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (10280736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190999)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 再生医学 / 外科学 / ES細胞 |
Research Abstract |
わが国発のiPS(Induced pluripotent stem cells)細胞の樹立成功(4つの転写因子遺伝子の導入によるリプログラミング)以来数多くの萌芽的な研究が創成されているところであるが、本申請ではiPSとは根本的に原理を異にする方法により挿入変異のない万能幹細胞の創出の開発を進め、医療応用のための基盤を構築した。この私達の新法は人工合成オリゴ・マイクロRNA単独(非コード遺伝子)により新規万能幹細胞miPS(microRNA-induced pluripotent stem cells)を創出するものである。今年度は消化器幹細胞から癌化の回避に配慮した新しいmiPS技術により直接リプログラミング誘導して再生医学に応用可能な消化器幹細胞を増幅調整、将来の臨床応用に向けた次世代のリプログラミング方法として基盤を構築し、独創的な発想と準備段階に基づく挑戦的で高い目標設定を掲げた芽生え期の研究として推進した。今年度の成果として、新しいmiPS技術により直接リプログラミング誘導した分子メカニズムとしてマイクロRNA標的蛋白質の翻訳後修飾を制御する新機構を同定して、その人為制御法を開発した。現在人工万能細胞(iPSとは別個の新しい誘導方法で作成したもの)から内胚葉、中胚葉、外胚葉にコミットした分化系列への誘導実験を実施している。引き続き、肝・腸・膵の分化上皮を対象にして、miPS技術により、それぞれの消化器幹細胞を誘導し、試験管内、および将来の臨床応用に繋げる小動物実験(ヒト化マウス)における直接リプログラミングを促進する因子、阻害する因子を究明し精度を高める研究を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
革新的なリプログラミングにおいて要となる解糖系酵素の新たな制御機構を明らかにし、効率的な細胞の分化誘導方法のための画期的な制御方法の開発に成功しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
各種分化細胞への誘導のうち、メーケットからも重要な位置を占める膵臓を含む重要臓器を標的にした開発研究に重点を置き、メリハリをつける事で戦略的な知財確保を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【従来法の比較とメカニズム解析】他方法との比較:ゲノム挿入変異がないものの1つとして、センダイウイルスが注目されている。そこでセンダイウイルス搭載iPSとmiPSを比較検討し、作成された細胞の癌化(動物実験)、分化能力(試験管内および動物実験移植実験)を調べる。●誘導のメカニズム:iPSが転写因子ネットワークを介して未分化性と多分化能を獲得すると考えられるが(Nature2009)、miPSはマイクロRNAが標的遺伝子の非翻訳領域に結合して抑制的に作用する過程が入力であるために、『マイクロRNA群』の下流にある『転写因子等遺伝子群』を解析する必要がある。本研究では、3つのマイクロRNAの作用が収束される重要な共ハブ因子を同定し、miPS誘導に関わるバイオインフォマティクスを解明する。●阻害する因子・促進する因子:私達を含む内外の研究で、癌抑制遺伝子(TP53:172変異,P16欠損)、癌遺伝子(Kras:12,14変異)が諸刃の剣として高RP効率と癌化に繋がることが示唆される。癌化を回避しながら一時的にこれらを制御する重要性が示唆され、有効なRP誘導・有効な診断法・癌化予測法を具現化するために新規創薬としての標的を明らかにする。【本研究の成果を次ぎに繋ぐ】消化器臓器の損傷・欠損モデル(術後再建モデル)、ヒト化マウス(免疫系を骨髄移植でヒト化し、ヒトの微小環境に類似させた個体レベルでの小動物モデル)を用いて、個体レベルでの有用性を示す。
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Research Products
(11 results)