2011 Fiscal Year Research-status Report
新規分泌型発光デュアルプローブを用いたin vivo での癌細胞上皮間葉移行解析
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23659630
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片岡 昭彦 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (90399832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (80256510)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光プローブ / 生体イメージング / 分泌型ルシフェラーゼ / 癌細胞機能解析 |
Research Abstract |
In vitro実験によるプローブデザインおよび作製とin vivo実験ではマウス皮下腫瘍移植モデルにて2種類のルシフェラーゼ活性を評価、検討した。分泌型ルシフェラーゼプローブの作成:E-Box配列をプロモータ領域に持つ分泌型ルシフェラーゼ(Cluc遺伝子あるいはGluc遺伝子)と通常の非分泌型ホタルルシフェラーゼ(Fluc遺伝子)のベクタープラスミドを作成した。胃癌、大腸癌、膵癌、乳癌の細胞株をもちいて、細胞内に2種類の分泌型ルシフェラーゼと非分泌型ルシフェラーゼを同時に導入し、その発現バランスを検討した。In vitroによるアッセイでは十分なシグナル強度を示す良い結果が得られたため、in vivoによる検証実験に移った。In vivo実験では、2種のルシフェラーゼを導入した腫瘍細胞株をもちいて、皮下移植をおこない、腫瘍増殖と2種類のルシフェラーゼからのシグナルを、まず生体イメージング装置にて確認した。その結果、腫瘍からは、2種類のシグナルが得られたものの、両者のシグナルバランスが悪く(同程度にシグナルが得られない)、プローブのデザインの変更を行なうこととした。再び、in vitroの実験に戻り種々の方法を試したが、最終的にIRESシステムを利用して、同時に二つの遺伝子を同じプラスミドに挿入し、それによりシグナル強度のバランスを得た。現在、このプローブを導入した腫瘍細胞にて、移植実験を行なっており、シグナルのバランス、血液中に分泌されたルシフェラーゼ活性の測定、腫瘍サイズおよび転移との関連を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画において,新規分泌型デュアルルシフェラーゼプローブ導入膵癌細胞を作成し,マウスをもちいたin vivoモデルにて、癌の進展に伴う種々の遺伝子活性を定量的かつ経時的に少量の採血のみで計測し,かつその分布をin vivoイメージングで可視化する。実現すれば,癌の進行における実際の生体内での遺伝子発現および腫瘍伸展における分子生物学的な解析を並行して行う画期的な研究となる。本技術は,生体内での標的分子の動態を低侵襲かつ安価な方法で経時的・持続的に評価でき,通常の光イメージング技術と異なり大動物でも理論的には応用可能で,プローブ導入技術の問題がクリアされればヒトでの応用の可能性も有するなど応用範囲の広い研究である。現時点では、基本的な技術開発(デュアルルシフェラーゼプローブの細胞への最適な導入法の確立)を細胞とマウスを用いて行なっており、概ね良好なペースで研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)これらのベクタープラスミドに対して、増殖、生存・抗アポトーシス、酸化ストレス、小胞体ストレスあるいはEMT(上皮間葉移行)に関連する遺伝子のプロモータを挿入し、レポータープラスミドとする。それぞれのレポータープローブを作成後、癌細胞(膵癌、胃癌、大腸癌細胞株)に対して、transient transfectionをおこない、細胞内発現、細胞外分泌を確認する。細胞内発現と機能は、アトー社製クロノス・ディオをもちいて経時的に測定し、細胞外分泌は通常のルミノメーターをもちいて測定する。刺激として、種々の増殖因子、サイトカイン、低酸素刺激などを与える。EMT誘導の確認には、(1)TGF-β投与 及び (2)Gemcitabine少量持続投与を行ない確認する。その反応性が、5-10倍となるよう、必要があればプラスミドを設計し直して作製を繰り返す。(2)安定導入株の作製:それぞれのプローブ機能が確認された後、腫瘍細胞株にたいして安定的に遺伝子を導入する。安定細胞株が作製されたのち、(3)と同様に、再度プローブの機能確認実験を行ない、刺激に対して十分に反応し、in vivoでの実験に使用できることを確認する。同時に、作製した2種類のプローブを、同時に腫瘍細胞に安定導入する。これにより、ひとつの細胞株で二つの遺伝子発現を検討することが可能となる。こうして作製されたデュアルプローブをin vitroにて、最終的に機能確認を行なう。同時に、増殖能(MTT assay),浸潤能(Boyden chamber法)や代表的分子マーカー(CEA等)等,表現型の親株と比較検討する。マウス移植モデルの作成し、in vivo(転移モデル)でレポーター機能を検討する。肝転移モデルにおいて,肝臓での腫瘍細胞全体,及び浸潤部の中での血中Cluc活性/Gluc活性の上昇の相関を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究では、研究費を主として消耗品(遺伝子導入、細胞培養および増幅などに関わるディスポーザブル・試薬の購入)あるいはマウスを用いた小動物実験(マウス購入費、飼育費、試薬代など)として用いる。また、データを研究会、学会において発表するための旅費等として使用する。また、新たな手法により節約できた使用残について、新規プローブ作製に使用する。
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