2011 Fiscal Year Research-status Report
有茎腸管グラフト内肝組織片移植法を発展させた生体内人工補助肝臓の開発
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23659636
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小暮 公孝 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (20125850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
星野 洪郎 群馬大学, 名誉教授 (00107434)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肝不全 / 人工補助肝臓 / 有茎腸管内肝組織片移植 / 肝移植 |
Research Abstract |
【研究目的】肝不全患者の救命には現在では肝移植が最も効果的な治療法であるが、ドナー不足の現状から有効な補助肝臓の開発が求められている。しかし、体外型補助肝臓装置は複雑で、また、高価である。本研究は有茎腸管グラフト内に肝組織を移植する安価で効果的な補助肝臓の開発を目的としている。予備研究の段階ではグラフトを大網で包んで後腹膜に固定する、グラフト腸管の前壁に針穴を3個ほどあけグラフト腸管内の浸出液あるいは腸粘膜からの分泌液を腹腔に逃す方法を取り入れ、更に、安定した有茎腸管グラフト内肝組織片充填移植術式を確立することができた。しかし、60日を経過すると充填した肝組織片は次第に、壊死、融解してしまった。そこで本年度は更なる肝組織片の長期生着をめざして実験を行った。【改良方法】1.腸管グラフトに脾臓を接着させ血流の補助をはかる。2.腸管グラフト内に大網を引き込み充填肝組織片へ直接、血流の促進を図る。3.グラフトを残りの大網で包み腸管グラフトへの血流の補助をはかる【結果】これらの工夫によりグラフト腸管内に充填された肝組織片は腸管壁に癒合、生着し、移植60日後でも部分的に肝組織片が遺残して、顕微鏡的にも肝の索状構造が保たれていた。【結語】有茎腸管グラフトの中では皮下や腹腔内などの他部位ではすぐに壊死してしまう肝組織片でも互いに融合して腸管壁に生着するが、脾臓を接着させ、大網を引き入れる工夫により、更に、長期間生着することが確認された。今回の研究により有茎腸管グラフト内肝組織片充填方式は肝不全治療の有効な補助肝臓開発につながる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸管グラフト内の充填肝組織片の長期生着をはかる方法として1.脾臓を接着させる、2.大網でグラフトを包む、3.大網をグラフト内に引き入れる、という工夫を行い、従来に増して長期にわたり充填肝組織片を腸管グラフト内に生着させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
有茎腸管グラフトの中では皮下や腹腔内などの他部位ではすぐに壊死してしまう肝組織片でも互いに融合して腸管壁に生着するが、脾臓を接着させ、大網を引き入れる工夫により、更に、長期間生着することが確認された。これからこの方法を用いて脾組織、膵組織等との混合移植片を作成して、更なる腸管グラフト内の充填肝組織片の長期生着をはかって行きたい。今後の問題点として充填肝組織が肝組織として機能しているかの検討を加えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有茎腸管グラフト内の充填肝組織片が比較的、安定して長期に生着する可能性が出てきたので、これからは肝組織片に脾、膵の組織を混在させて生着状況を検討する、そのための実験動物の購入費に、また、グラフト内の充填肝組織の人工肝としての機能状況を検討するための各種生理活性物質の抗体購入費等に研究費を使用する計画でいる。
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Research Products
(4 results)