2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内腫瘍抗原を標的とした抗体による免疫療法の試み-化学療法との併用-
Project/Area Number |
23659649
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20291445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 博志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80362713)
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Keywords | ヒト抗体 / 化学療法併用 / NY-ESO-1 / Fc受容体 |
Research Abstract |
1. マウス抗NY-ESO-1抗体による追補実験 ① NY-ESO-1発現CT26を移植後5-FUを投与したマウスにマウス抗NY-ESO-1抗体E978を静注すると、72時間後にNY-ESO-1抗原抗体複合体を観察しえた。② ①の実験系に、E978Fab抗体を用いた場合、抗腫瘍効果はほぼ消失した。すなわちNY-ESO-1抗体の抗がん剤併用抗腫瘍効果は、Fc依存性であった。FcR-KO miceを用いた実験でも証明された。③ 抗癌剤併用抗体療法における抗原提示細胞の必要性を追及した。in vitroにおいて樹状細胞を①の抗原抗体複合体と混合培養した場合、NY-ESO-1抗体単独の場合に比して、NY-ESO-1特異的抗原提示能が飛躍的に亢進した。①のマウスのリンパ節中樹状細胞の表面抗原は、CD80、CD86、CD40、MHCクラスIIなどの活性化マーカーの上昇が見られた。④ これら結果より、抗癌剤併用抗体療法は、抗癌剤により遊離した腫瘍抗原が特異抗体と複合体を作ることで、抗原提示細胞にFc受容体を介して効率よくとりこまれ、効果細胞であるCD8T細胞を抗原特異的に誘導・活性化し、抗腫瘍効果をもたらすことが証明された。 2.ヒト抗NY-ESO-1抗体による実験 ①ヒト抗NY-ESO-1モノクローナル抗体12D7は、悪性黒色腫患者のB細胞より作成され、180個のアミノ酸よりなるNY-ESO-1分子の11-30番アミノ酸は配列部を認識する。12D7およびNY-ESO-1タンパクを樹状細胞と混合培養することで、NY-ESO-1特異反応性CD8T細胞クローンを効率よく刺激しうることが、開発者のアレクサンダー・クヌート博士(ドイツ・チューリッヒ大学)により確認されている。 ②現在この12D7の譲渡に向けての交渉中である。その後、ヒトへの臨床研究を開始する予定である。
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Research Products
(4 results)