2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659665
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲田 有史 京都大学, 再生医科学研究所, 非常勤講師 (90254515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
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Keywords | 人工神経 / 横隔神経 / 神経再生 / 末梢神経 / 呼吸不全 / 横隔膜麻痺 / 肺癌 / 合併切除 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人工神経を用いた新しい横隔神経再建法を開発することである。横隔神経は肺癌の縦隔浸潤に際しては切断されることがあり、従来、肋間神経移行などが行われることがあったが、再建の標準術式は未だにない。横隔神経麻痺は即ち、呼吸不全の原因となり、とりわけ低肺機能の患者においては命にかかわる重篤な病態となる。一方、整形外科領域では自己組織再生型の人工神経が臨床応用され、自家神経移植に代わる治療として注目されている。本研究ではイヌのモデルにおいて、従来の術式の中では一番好成績が予想される血管柄付自家神経移植と比較して、人工神経の有用性を胸部外科領域で検討した。 ビーグル犬を用いた動物実験用に直径2mm、長さ3cmのポリグリコール酸チューブの内部にコラーゲンを充填した人工神経を作製した。これを用いてビーグル犬の右側横隔神経欠損部(L=2cm)の再建を行った。コントロールには従来最も成績が良いとされてきた有茎神経移植として局所で横隔神経を2カ所で切断してマイクロサージャリーの手法で端々吻合した群を作った。6~12ヶ月にわたり経時的に各群の回復を電気生理学、X線、MR画像で評価するとともに、12ヶ月後に病理組織学的にシュワン細胞と神経軸索の回復を確認した。現在はそのデータの解析をすすめているが今後N数を増やして統計的に有意に良好な結果が出れば臨床応用に進める計画である。これまで治療法のなかった疾患に対する新しいアプローチとして臨床的意義の大きな研究と考えている。
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