2012 Fiscal Year Research-status Report
肺扁平上皮癌に対するFGFR抑制ベクター遺伝子治療
Project/Area Number |
23659666
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 政龍 公益財団法人田附興風会, その他部局等, その他 (10271511)
園部 誠 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00432378)
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Keywords | FGFR / shRNA / アデノウィルス / ベクター / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々は肺扁平上皮癌に対する新しい治療として,FGFR抑制ベクターによる癌遺伝子治療の研究を行っている.まず我々は非小細胞肺癌におけるFGFR familyの発現に関する包括的臨床的解析を行った.FGFR family遺伝子の全4種類(FGFR1, FGFR2, FGFR3, FGFR4)について,その遺伝子発現量をreal-time RT-PCRで定量した.その結果,FGFR1の遺伝子発現はEGFR遺伝子とKras遺伝子がともに野生型である肺癌で有意に高かった.また,FGFR2の遺伝子発現もEGFR遺伝子とKras遺伝子がともに野生型である肺癌で有意に高かった.更にFGFR2は,腺癌と比べて扁平上皮癌で有意に遺伝子発現量が高かった(投稿中).これらの結果は,免疫組織学法による蛋白発現でも同様な所見がえられた.そのため,我々はFGFR1だけでなくFGFR2も肺癌における治療ターゲットになりうると考え, FGFR2発現抑制ベクターをアデノウィルスベクターで作製した.まず合成shRNAをRNA polymerase III系プロモーターを搭載したプラスミドベクターに組込み,shRNA発現プラスミドベクターを作製し,COS-TPC法でshRNA発現アデノウィルスベクター(Ad-shFGFR2)を作製した.そしてこのAd-shFGFR2を用いて,FGFR2高発現肺癌細胞株A549に対してin vitroの遺伝子治療実験を行った.Ad-shFGFR2により遺伝子発現と蛋白発現でFGFR2に対して約85%のノックダウン効率を認めた.しかしながら,MTTアッセイでは,このAd-shFGFR2による腫瘍細胞増殖抑制効果は未だ十分とは言えなかった.そのため現在我々は更に強力なFGFR2発現抑制ベクターを作成に取り組んでいる.同時に,FGFR1発現抑制ベクターの作成にも取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの実験成果により,H520がFGFR1高発現肺癌細胞株であり,A549がFGFR2高発現肺癌細胞株であることが判明しており,in vitro及びin vivoの遺伝子治療実験に使用するモデル細胞は既に確立している.更に,我々はこれまでshRNA発現アデノウィルスベクターの作成に精力的に取り組んでおり,技術的には習熟している.そのため,本研究計画の目標であるFGFR発現抑制ベクターの作成は,必ず完成できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も我々は更に強力なFGFR2発現抑制ベクターを作成し,in vitro及び in vivoの遺伝子治療実験を行ってゆく予定である.そして,FGFR2高発現癌細胞株に対して,FGFR2抑制ベクターによるin vitro遺伝子治療実験を行う.real-time RT-PCRによるFGFR遺伝子発現定量とWestern BlotによるFGFR蛋白発現定量によりノックダウン効率を評価する.そして,MTTアッセイによる腫瘍細胞障害性定量と,フローサイトメーターによる細胞周期解析により,FGFR2抑制ベクターの抗腫瘍効果を評価する.更に実験動物におけるin vivo遺伝子治療実験も精力的に行う.ヌードマウスに,FGFR2高発現癌細胞株または外科的切除腫瘍組織を移植し,担癌モデルの作製を作製する.ベクター投与法としては,まず腫瘍内への直接注入法を,次に気道内吸入法を検討する.real-time RT-PCRによる標的遺伝子発現の定量と免疫組織化学法とWestern Blotによる標的蛋白発現の定量により,FGFR2抑制ベクターのノックダウン効率の評価する.そして,腫瘍体積の定時的測定,免疫組織化学法によるKi67増殖指数と血管新生の評価,TUNEL法によるアポトーシス評価などを行い,更に肺・肝臓への遠隔転移や生命予後の検討も行い,FGFR2抑制アデノウィルスベクターによる抗腫瘍効果を総合的に評価する.そして,ELISAによるサイトカイン発現定量で生化学的・免疫学的評価も行い,臨床応用可能なFGFR2抑制アデノウィルスベクターの開発を目指してゆく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)