2011 Fiscal Year Research-status Report
温感性複合体(不活化センダイウイルス粒子、抗癌剤、磁性体粒子)による癌治療の開発
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23659671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 千萬 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (10432543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, 研究員 (10452393)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 温熱療法 / 磁性体粒子 / HVJ-E |
Research Abstract |
本研究は、不活化センダイウイルス粒子、磁性体粒子、抗癌剤による温感複合体による癌治療の開発を目的としている。当該年度は、不活化センダイウイルス粒子、磁性体粒子と胸膜中皮腫に豊富に発現するCD44を標的としたヒアルロン酸を含んだ温感複合体を作製し、各含有物濃度の適正化を行うことを計画した。1、不活化センダイウイルス粒子とヒアルロン酸ならびにキトサン等を用い、カチオン性とアニオン性の交互積層法を応用し、複合体を作製。複合体のゼータ電位、動的光散乱、電気泳動光散乱を測定し、不活化センダイウイルス粒子の凝集が少ない適正条件を決定した。 2、カチオン系磁性体粒子の発熱挙動を交流磁場発生装置と銅製コイル(3巻き)を用い検討。交流磁場発生装置の出力を経時的に調整することで発熱温度を一定にすることが可能であった。 3、不活化センダイウイルス粒子、磁性体粒子、ヒアルロン酸を用いた音感複合体を作製。積層評価を行うと、不活化センダイウイルス粒子を核とし、その外層にヒアルロン酸のカルボキシル基と基質のアミノ基による表面電化の変化ならびに粒子径の増大を確認した。また、磁性体粒子濃度を0.025%以上とすることで、交流磁場負荷により45℃前後に発熱し、保持が可能であった。 当該年度では温感複合体に抗癌剤を含有させていないが、次年度はヒアルロン酸の側鎖にカルボプラチンを担治させることで抗癌剤を含有した温感複合体を作製予定である。以上、当該年度は不活化センダイウイルス粒子を核としたヒアルロン酸を表層ならびに内部に、磁性体粒子を含有した温感複合体を作製し、交流磁場負荷により温熱療法に必要な発熱が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の計画では、新規温度応答性マグネタイト・不活化センダイウイルス粒子・抗癌剤複合体の作製ならびに新規複合体の物性を検討することを予定した。当該年度は不活化センダイウイルス粒子を核としたヒアルロン酸を表層ならびに内部に、磁性体粒子を含有した温感複合体を作製し、その物性をゼータ電位、動的光散乱、電気泳動光散乱等より検討し、当初不活化センダイウイルス粒子の凝集を認めたが、凝集を極力抑える条件を見出した。また、複合体に交流磁場を負荷することで温熱療法に必要な発熱が可能であることを確認した。抗癌剤の含有温感複合体は未だ作製していないが、ヒアルロン酸側鎖に担持させることで容易に作製あると考える。以上より、当該年度の予定外の発熱実験を開始することができたため、概ね順調にもしくは当初の計画よりも進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1、抗癌剤(カルボプラチン)含有温感複合体の作製ならびにその物性の検討。2、抗癌剤含有温感複合体の細胞増殖抑制効果の検討。 3、温感複合体の温熱細胞増殖抑制効果の検討。 4、温熱効果に伴う免疫賦活作用の評価。 5、交流磁場発生装置以外の簡易型交流磁場発生装置による温熱効果の検討(アイ・エイチ・ヒーター、非接触型充電装置等)。 6、動物を用いた有害事象ならびに生体内分布の検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、温感複合体作製に伴う磁性体粒子、抗癌剤、不活化センダイウイルス粒子の購入2、細胞培養関連消耗品の購入3、マウス購入・飼養費4、国際温熱治療学会への参加 等なお、当初予定した交流磁場発生装置の購入はとりやめため、当初予定の研究費使用計画と執行額が異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含め、当初予定通りの研究を進めていく。
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