2013 Fiscal Year Annual Research Report
温感性複合体(不活化センダイウイルス粒子、抗癌剤、磁性体粒子)による癌治療の開発
Project/Area Number |
23659671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 千萬 大阪大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10432543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, 研究員 (10452393)
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Keywords | 温熱治療 / 呼吸器外科 |
Research Abstract |
前年度までに不活化センダイウイルス粒子(HVJ-E)とヒアルロン酸ならびにキトサンを含有した複合体を相互積層法にて作製を行い、その挙動についてHVJ-Eの凝集が少ない適正条件を決定した(HVJ-Eとヒアルロン酸の安定条件を再検討しグルコールキトサン0.25 mg/mL以上、ヒアルロン酸0.5 mg/mL以上)。また、HVJ-E、磁性体粒子、ヒアルロン酸を用いた温感複合体を作製し、交流磁場印加により温熱療法に必要な発熱が可能であることを確認した。本年度は、主に抗癌ナノファイバーの作製と細胞毒性評価を行った。温度応答性のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)PNIPAAm誘導体を原料としたナノファイバーを作製し、内包された抗癌剤のON-OFF制御を試みたところ、温度に応答した可逆的な膨潤・収縮変化を示し、それに伴う薬物の放出も制御することが可能なファイバーを作製した。また、磁性粒子を含有させることで、交流磁場を印加したところ、ファイバーの加熱を認めた。この発熱挙動は、内包する磁性粒子の量や交流磁場の強度によっても調節可能であった。また、自己発熱で生じた熱に応答して、温度応答性高分子が脱水和するため、内部の水と共に抗癌剤を外部に放出させることができた。すなわち交流磁場のON-OFFによって自己発熱と抗癌剤の放出を同時に実現することができた。悪性中皮腫、ヒトメラノーマ細胞株、肺癌細胞等を用いて、このファイバーの抗癌活性を調べたところ、交流磁場の印加により癌細胞増殖が大幅に抑制でき、5分間の交流磁場印加を2度行うことで、約70%の癌細胞が減少した。また、ヒト肺癌細胞を接種した皮下腫瘍担癌マウスの皮下腫瘍部分にナノファイバーを埋め込み、交流磁場を印加することで埋め込んだファイバーの発熱を認め、無治療群や抗癌剤非含有群に比し皮下腫瘍の抑制効果を認めた。
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