2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659673
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
濱野 公一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60263787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 桃生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50379997)
美甘 章仁 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30372709)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 心筋再生 / 不全心 |
Research Abstract |
近年、心臓においても自己再生修復能力があることが明らかになってきた。しかし、実際の臨床においては重篤な心不全に陥った患者が多く存在し、自然治癒することはほとんどない。その原因として、障害心臓の内在的な環境の悪化などによる心臓における自己再生修復能力の低下が考えられる。それを支持する事例として、Ventricular Assist Device (VAD)装着後の重症心不全患者で心機能の回復がしばしば認められることが挙げられ、メカニカルストレス軽減によって心臓の自己再生修復能力が上昇する可能性が考えられる。そこで、本研究ではメカニカルストレスを軽減した心筋組織を用いて、自己再生修復機能を誘導あるいは阻害する因子を同定することを目的とする。平成23年度は、メカニカルストレスが心筋再生修復に及ぼす影響を明らかにするために、異所性心移植モデルマウスを用いた検討を行った。左前下行枝(LAD)結紮により心筋梗塞を作製して、別のマウスの腹部に異所性に移植することで、メカニカルストレスを軽減した群とした。対照群は心筋梗塞を作製後、Sham開腹したものとした。マッソン・トリクローム染色によって形態学的変化を観察した結果、メカニカルストレス軽減群では梗塞部位の壁厚は保たれており、左室の重量は減少していた。また、組織学的解析の結果、梗塞境界領域ではKi67陽性細胞増殖が増加しており、TUNEL陽性アポトーシスは減少していた。さらに、両群の梗塞心に幹細胞(GFP陽性)移植を行った結果、メカニカルストレス軽減群では移植した細胞の生着は良好であると共に、Ki67陽性細胞増殖も増加していることが分かった。以上の結果から、メカニカルストレス軽減によって、心筋再生修復が促されることが示された。加えて、幹細胞の生着・増殖の増加にも寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカニカルストレスが心筋再生修復に寄与する点が明らかとなった。この結果に基づいて、今後、その分子メカニズムを解明する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の結果に基づいて、メカニカルストレスを軽減した心筋組織を用いて、心筋組織内の分子(特に細胞外基質・接着分子)の発現変化を調べ、心筋再生修復との関連を検証する。また、心筋幹細胞に着目した評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究の推進方策に基づいて、研究費(PCR Array購入費、免疫染色やウェスタンブロッティング用の抗体購入費)を使用する。平成23年度は、心筋組織内の分子(特に細胞外基質、接着分子)の遺伝子発現変化をPCR Arrayにて解析する予定であったが、行わなかったため、未使用額が生じた。尚、未使用額については上記の研究費(PCR Array購入費、免疫染色やウェスタンブロッティング用の抗体購入費)に加えて使用する。
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