2011 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞エネルギー代謝研究とグリオーマ幹細胞研究の融合による新たな研究領域の創成
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23659682
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北中 千史 山形大学, 医学部, 教授 (70260320)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | glioma initiating cell / oxidative / phosphorylation |
Research Abstract |
我々はWarburg効果がミトコンドリア依存的細胞自殺の抑制を通じてがん細胞に生存アドバンテージを与えていること、逆にWarburg効果の解除によりがん細胞の細胞死( 治療)抵抗性を克服できる可能性を世界に先駆けて提唱し、さらにはそのような可能性を実証するためグリオーマ細胞のミトコンドリア呼吸を促進できる薬物を探索し、化合物Xを見出した。このような性質をもつ化合物Xを用いて種々の検討を行った結果、化合物Xがin vitroにおいてグリオーマ細胞に対するテモゾロミドの殺細胞効果を増強すること、また化合物Xが示す殺細胞効果増強作用がミトコンドリア呼吸依存的であることが確認された。続いて「Warburg効果や腫瘍低酸素がグリオーマ幹細胞維持に重要な役割を果たしている」という仮説を検証すべく、化合物Xがグリオーマ細胞の幹細胞性(未分化性)/分化誘導に与える影響につき検討を行った。その結果、幹細胞状態のグリオーマ細胞を化合物Xで処理すると、幹細胞(未分化)マーカーの発現低下と分化マーカーの発現上昇が認められた。これらの結果はグリオーマ細胞における幹細胞状態の維持において、ミトコンドリア呼吸の抑制すなわちWarburg効果や腫瘍低酸素が重要な役割を果たしている可能性を示唆するものである。と同時にこのような結果は化合物XのようにWarburg効果を解除しうる薬剤や腫瘍低酸素の解除がグリオーマ幹細胞の抑制を通じてグリオーマの再発抑制に貢献しうる可能性を示唆するものでもある。そこで現在我々は、化合物Xのグリオーマ治療効果について検討するため、脳腫瘍モデルを用いて検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定どおりin vitroでの検討結果を得ることができた。現在in vivoでの効果を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、薬剤のin vivoでの効果につき検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腫瘍モデル作成のためにマウスを購入し、腫瘍形成に用いるグリオーマ幹細胞を培養するための培地や増殖因子、プラスチック器具等を購入する。グリオーマ幹細胞分化誘導薬を購入する。
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[Journal Article] FoxO3a functions as a key integrator of cellular signals that control glioblastoma stem-like cell differentiation and tumorigenicity2011
Author(s)
Sunayama J, Sato A, Matsuda KI, Tachibana K, Watanabe E, Seino S, Suzuki K, Narita Y, Shibui S, Sakurada K, Kayama T, Tomiyama A, Kitanaka C
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Journal Title
Stem Cells
Volume: 29
Pages: 1327-1337
Peer Reviewed
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