2012 Fiscal Year Research-status Report
悪性グリオーマに対する血管内皮前駆細胞を利用した自家細胞療法の開発
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23659689
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
中林 博道 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (70346716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 託 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (10294547)
中谷 善彦 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (40582169)
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Keywords | 悪性グリオーマ / 血管内皮前駆細胞 / TRAIL / biotin-avidin system |
Research Abstract |
1. 細胞改変の試み 前年度までの研究においてhuman TRAILの強発現系への細胞改変が達成されなかったことから、human TRAILタンパクの発現を可視化できるようにGFPとの融合タンパクとして発現させてみることとした。OriGene社製のベクターpCMV-AC-GFPのマルチクローニングサイトにsoluble TRAIL と full length human TRAIL をインサートし、遺伝子導入用のベクターを再構築し、エレクトロポレオーションにてNIH/3T3細胞への遺伝子導入を試みた。その結果、遺伝子導入用のベクタ-を変更してもNIH/3T3細胞へ遺伝子導入されたGFP融合タンパクの発現効率が極めて低いことが判明した。またhuman TRAIL を導入した細胞でGFPの蛍光が確認できるものは、接着した細胞ではなく、浮遊(恐らく死んでいるか、死につつあるもの)したものが多いという結果であった。 2. 細胞膜修飾についての検討 前年度はマウス株化線維芽細胞(NIH/3T3)を用いて細胞修飾について検討したが、今年度はマウスの骨髄細胞より分化させた血管内皮前駆細胞 (endothelial progenitor cell: EPC) を用いて細胞修飾を試みた。Sulfo-NHS-biotinを分化させたEPCの培地へ加え、細胞表面にbiotinを付加した。次いで、Qdotストレプトアビジンを反応させると、細胞表面にQdotの蛍光シグナルを認め、細胞表面にbiotinが付加されたことが確認された。さらにこの細胞を用いてMatrigel invasion assayを行ったところ、Matrigelを通過した後でもEPCの細胞表面にQdotの蛍光シグナルを確認し、biotinが細胞表面から離脱していないことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 細胞改変の試み 前年度までの研究で、マウスEPCへの遺伝子導入へ向けた基礎実験において目標タンパク(human TRAIL)の発現が微弱であったことから、遺伝子導入用のベクタ-を再構築するとともにhuman TRAILと蛍光タンパクであるGFPタンパクの癒合タンパクを発現するようにして、蛍光強度から容易にタンパク発現量がモニタ-できるようにしたが、やはりhuman TRAILの発現が微弱であり、これまでのところhuman TRAILの強発現系への細胞改変が達成されていない。 2. 細胞膜修飾についての検討 Avidin-biotin system を利用した細胞膜修飾についてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Human TRAILの強発現系への細胞改変についてであるが、本年度に遺伝子導入用のベクタ-を再構築し行った研究において、human TRAILを導入した細胞でGFPの蛍光が確認できるものは、正常とは言い難い細胞に多いという結果で、当初の見込みではTRAIL 自身は正常細胞に影響を与えないという前提で目論んだ実験系であったが、意外にもhuman TRAIL遺伝子導入が正常細胞へ悪影響を与えているということで、研究方向の転換を迫られたという印象である。今後、この状況を打開する手段があるのかを検討する予定である。 一方、Avidin-biotin system を利用した細胞膜修飾についてはほぼ順調に進んでいるので、本年度はhuman soluble TRAILをbiotin化し、avidin を介してマウスEPCの細胞表面に修飾することを試み、human soluble TRAILを修飾されたマウスEPCがヒト悪性グリオーマ細胞に対してapoptosis を惹起するのかを検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に実験消耗品に当てる予定である。
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