2011 Fiscal Year Research-status Report
エキソソームmicroRNA発現解析に基づく新たな脳腫瘍バイオマーカー同定の試み
Project/Area Number |
23659691
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
中溝 玲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80529800)
天野 敏之 九州大学, 大学病院, 助教 (70448413)
秦 暢宏 九州大学, 大学病院, 助教 (10596034)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / microRNA / エキソソーム / バイオマーカー |
Research Abstract |
細胞培養液中の分泌型miRNAの同定、発現解析:7つ脳腫瘍細胞株の培養液よりexosomeを分離。細胞株および対応するmediumから分離したexosomeよりtotal RNAを抽出し、real time PCRを行った。Exosome分離にはExoquick (System biosciences)を使用し、mirVana RNA extraction Kit (Ambion)を用いて、miRNAを含むtotalRNAを抽出した。TarMan法により、miR16, miR21, miR196a, miR196bの発現解析を行い、medium内のmiRNA発現解析が腫瘍におけるmiRNA発現と相関して発現することを同定した。脳腫瘍症例血清中のmiRNAの同定、発現解析:髄膜腫、膠芽腫患者および健常者(髄膜腫6例、膠芽腫7例、健常者5例)の血清および血漿より同様にexosomeを分離し、miRNA発現解析を行った。血清exosome内のmiRNA発現が低い事が確認できた為、その他の方法を検討した。超遠心、総血清を用いてmiRNAを抽出し、発現解析を行った。その結果、総血清を用いた解析が最もmiRNA発現が高いことが証明された。摘出脳腫瘍標本におけるmicroRNA発現解析:九州大学脳神経外科手術症例のうち、神経膠腫136例(GBM 74例、AA 16例、AO 18例、DA 15例、OD 13例)より神経膠腫解析パネルを作成した。我々が同定した神経膠腫悪性化に関与する13個のmicroRNAおよび近年同定された幹細胞、神経膠腫関連microRNA9個の発現解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はmicroRNA(miRNA)発現に基づく血中バイオマーカー同定を目的とした研究である。本年度は血中miRNA同定法を確立する段階であり、健常人と脳腫瘍患者より血液を採取し、血清、血漿、エキソソーム分画よりmiRNAを抽出し発現解析を行った。それぞれmiRNA発現解析が可能であることが証明され、解析法に関しては確立しつつある。今後は臨床症例の血液を経時的に採取し、研究を継続することとなり当施設の脳腫瘍症例数に研究進行度が依存する部分がでてくることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、臨床症例末梢血からのmiRNA抽出法、解析法がほぼ確立したが、血清、血漿、エキソソーム中のmiRNA発現に差異があり、今年度早期にその解析法の確立を要す。同時に当施設における脳腫瘍患者から経時的に末梢血を採取し、miRNA発現解析を継続する。さらに脳腫瘍動物モデルにおける腫瘍形成過程の血中miRNA発現の推移を検討することで、臨床サンプルからは得ることができない腫瘍形成過程のmiRNAの発現変動を解析する。臨床サンプル、動物モデルの2つの系での解析結果をもとに臨床上有用なmiRNA同定に努める。腫瘍、末梢血中のmiRNA発現の相関、推移を比較検討することでバイオマーカーとしてのmiRNAの有用性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
末梢血におけるmiRNA発現解析法の確立:末梢血におけるmiRNAの発現解析に関しては、血清、血漿、エキソソーム中でその発現に差異があることがわかっており、初期は再度その発現解析法を検証する。脳腫瘍症例におけるmiRNA発現解析:脳腫瘍症例における摘出標本、末梢血中のmiRNA抽出を継続する。脳腫瘍摘出標本と末梢血中のmiRNA発現の相関および経時的推移を検討する。我々が同定した脳腫瘍(神経膠腫)関連miRNAの発現に関しては、TaqMan法、Locked Nucleic Acid (LNA)法を用い解析を行う。有意なmiRNAが同定できない場合は再度microarrayを用いた網羅的解析を追加検討する。さらに末梢血中miRNAの経時的変化(術前、術後、初期治療前後、再発時など)を検討し、バイオマーカーとしての有用性を検証する。神経膠腫において有意な解析結果が得られれば、他の脳腫瘍症例に対しても同様の解析を行い、腫瘍型に特異的なmiRNAの同定を目指す。動物モデルにおけるmiRNA発現解析:現在、当施設で行っている免疫不全マウスへの脳腫瘍幹細胞移植モデルを用いて、脳腫瘍動物モデルにおける腫瘍形成過程の血液中miRNA発現解析を行い、腫瘍形成過程における末梢血中miRNA発現の推移を検討する。最終的には腫瘍形成後に摘出した腫瘍標本のmiRNA発現解析を行い、腫瘍形成過程、腫瘍形成後の血中miRNA発現変動を解析し、腫瘍形成過程で増加、減少傾向を示すmiRNAを同定し、臨床症例におけるmiRNAプロファイルと併せ、臨床上有用なバイオマーカーとなりうるmiRNA同定を目指す。
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