2011 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマに解糖系異常亢進をもたらすスプライシング異常
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23659700
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
片倉 隆一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (10442675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 しげみ 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (80600006)
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 主任研究員 (40333645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | グリオーマ / 解糖系 |
Research Abstract |
がん特有の糖代謝様式(解糖系の異常亢進:ワールブルグ効果)と密接に関連する"解糖系酵素ピルビン酸キナーゼM(PKM)のアイソザイム変換"及びその原因(スプライシング異常)を、グリオーマの新規診断・治療標的として開発することを目標として、研究に取り組んだ。 手術サンプルの解析により、PKMのスプライシング異常が、グリオーマにおいて極めて高頻度で起きていることが明白になった。その異常の程度はWHOグレードとほぼ相関している。また、特異抗体を用いた組織染色条件の最適化を行った。その結果、とくに、蛍光標識二重染色法とサブトラクション法を組み合わせた場合に、正常組織に浸潤したグリオーマと思われる細胞を、ほぼ単一細胞の解像度で確認できた。今後、既存の各種マーカーとの共染色を進め、その細胞のアイデンティティを詳細に検討し、病理診断への応用を目指す予定である。血中腫瘍マーカーへの応用という点では、ELISAを独自に開発し検討を行ったが、十分な感度を得られておらず、今後の改良を要する事が分かった。 一方、グリオーマにおけるスプライシング異常のメカニズムに関しては、一群のスプライシング因子の発現と、PKMスプライシング異常との間に、強い相関があることが分かった。shRNAを用い、いくつかのグリオーマ細胞株においてこれら因子をノックダウンすると、部分的にではあるが、PKMのスプライシング異常を是正することが出来た。これら結果は、スプライシング異常を人為的に是正可能なことを示している。と同時に、ノックダウンの効果が部分的であったことから、さらなる未知の制御機構が存在することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分担者らによるスプライシング可視化系開発が遅れ、分子機構の解明を十分にすすめることが出来なかった。また、東日本大震災ににより、解析途上、または前処理を施してあったサンプルで失われたものがあり、臨床検体の解析に若干の遅れをきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
手術検体の収集と解析を継続的に行うことは当初の予定通りである。当初、H23年度内を予定していた分子標的候補の機能的スクリーニング(比較的高額を要する)等を、今後行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実施状況報告書(様式F-6-1)における"次年度使用額"の大半は、上述の機能的スクリーニングに使用予定である。
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Research Products
(5 results)