2011 Fiscal Year Research-status Report
逆転の発想による脳動脈瘤塞栓治療用カバードステントの開発
Project/Area Number |
23659701
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中山 泰秀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 室長 (50250262)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 謙吉 関西大学, 工学部, 教授 (30029186)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | ステント / カバー / 脳動脈瘤 / 生体外回路 |
Research Abstract |
これまで我々は、ステント外周に対して、微細な孔(マイクロ孔)を多数開けた薄膜で一体化させた微細孔化カバードステントを開発し、動脈瘤治療への有効性を示してきた。一般に、瘤口を塞ぐためには孔は小さい必要があり、逆に孔を大きく多くすると側枝の残存や内膜肥厚の抑制には有利であるが、瘤内への血流速度が早くなるため塞栓できずにカバー材の意味が無くなるとのジレンマが生じていた。しかし不思議な事に、孔をある程度の大きさにすることで、瘤内の血流を停滞させることが可能であることを可視化回路での実験で見いだした。大きな孔が瘤内の流れを止めるという常識を打ち破る新しい発見に基づいて、本研究では流体力学的拍動流回路にてカバーフィルムに開ける孔の大きさ、形、面積の最適設計を行い、動物を用いて実験的に作製した動脈瘤にて検証を行う事を目的とする。本年度の研究成果を以下に記載する。1)流体力学的機能評価 アクリル立方体を切削加工することで、瘤形状を内部に有する動脈瘤モデル模型を作製した。多孔質フィルムの作製は、現有のエキシマレーザーを用いて行った。拍動流ポンプをつなげた流体回路を設計し、モデルを装着し、回路内に蛍光微粒子を流すことで、動脈瘤内の流れの可視化を行い、孔の大きさ、面積、形状と瘤内の流れの関係を明らかにした。2))カバードステントの作製/物性評価 ステントのカバー化はこれまで開発したディッピング法によって行った。カバー化後は先のレーザー加工装置にて多孔化を行った。ステントに柔軟性を持たせるための1つの方法として、短いユニット構造の連結が行った。そこでカバー材によって連結させることで、柔軟性と拡張性が両立された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究実施計画に添って、研究は順調に進行し、期待された研究成果が得られ、論文発表並びに特許申請が行えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
主に動物実験評価に取り組む。これまで犬ならびに兎で作製してきた動脈瘤モデルを用いて、動物実験評価を行う。基本的に体内への導入は大腿動脈のカットダウンによって行う。アンギオ室内にて血管造影しながら頚部及び頭部へ誘導させる。動脈瘤のエントリー部にてステントを留置させる。瘤内への親血管の血流の流入阻止は血管造影によって調べる。一定期間留置させた後に、瘤の封鎖ならびに内膜肥厚の程度を血管造影によって調べる。また、周囲の組織とともに留置したステントを摘出し、組織切片を作製して、内膜肥厚の程度を定量解析すると同時に、組織形態学ならびに免疫学的な評価を行う。留置実験は国立循環器病研究センター研究所内の動物実験施設内にて、外科医と共同して行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の購入を主とし、研究成果の発表のための旅費や論文の投稿料などを計画している。
|