2012 Fiscal Year Research-status Report
軟骨無形成症に対する生体適合性ナノキャリアを用いた新規遺伝子治療法の確立
Project/Area Number |
23659708
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (60292926)
|
Keywords | 軟骨無形成症 / 遺伝子治療 / ナノキャリア / 生体適合性 / FGFシグナル |
Research Abstract |
前年度作成したCNP発現プラスミドDNAを用い,野生型幼少マウス(生後3-4週)に対して,同DNAを内包したナノキャリアの肝へのハイドロダイナミクス法による投与を行った.大腿骨および脛骨の骨長をレントゲン検査で計測すると,無治療群と比べ,1-3%程度の骨長の増加が観察された.増加量はわずかであるが,再現性を持って骨長増加は見られ,CNPの本研究目的に対する有効性は確認されたと考えられた. 一方問題点として,同投与法は生後3週より幼弱な仔マウスへの投与は技術的に困難で,一方骨長増加の治療効果をより明確にするためには,さらに生後間もない時期からの投与が望ましいと考えられた.このために,新しい手法として,眼窩静脈叢へのナノキャリア溶液注入によるハイドロダイナミクス法投与を検討した.生後1週程度の野生型仔マウスに対して,レポーター遺伝子発現DNAを投与したところ,特に投与後の毒性,眼障害などの合併症なく,肝での良好な遺伝子発現が観察された.尾静脈からのハイドロダイナミクス法投与と比べ,わずかに発現量は低いものの,他の投与法(四肢骨格筋への筋注など)と比べ,個体差の少ない一定の遺伝子発現が得られる特徴があり,仔マウスへの遺伝子導入という目的には適した投与法であると判断した. また生後1週程度の仔マウスの四肢骨長計測のため,マイクロCTによる評価を導入した.麻酔下に迅速な全身骨の撮影が可能であり,仔マウスの骨長計測に有効であることを確認た. 以上の検討をもとに,生後1週程度の仔マウスに対するCNP発現プラスミドDNAのナノキャリア投与を開始している.まだ個体数が少ないため結論は得られないが,骨長増加の効果が確認されている.また四肢短縮の表現形発現マウスへの投与実験も順次行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に投与法に関する検討を詳細に行い,条件の最適化を行った.また野生型マウスに対しては,CNP遺伝子投与の有効性を確認している.当初計画通りの進展状況と考えるが,問題点として,四肢短縮の表現形発現マウスの出生数が,理論上得られるはずの全出生数の1/4にも満たないことが多く,十分な個体数の得られないことが研究推進の律速段階となっている.繁殖条件の検討を重ねると共に,飼育施設のキャパシティ,人員に確保に努力する予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
疾患モデルマウスに対する疾患治療効果を確認する実験を鋭意推進する.マイクロCTによる評価,組織学的検討などを加え,軟骨無形成症の根治的治療に向けた新たな治療戦略の提案として,論文化を目指す.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,研究費は主にマウス飼育費,遺伝子ナノキャリア調製に用いる試薬類購入に用いる計画である.
|
Research Products
(1 results)