2013 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨無形成症に対する生体適合性ナノキャリアを用いた新規遺伝子治療法の確立
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23659708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60292926)
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Keywords | 軟骨無形成症 / 遺伝子治療 / ナノキャリア / 生体適合性 / FGFシグナル / 細胞移植 / スフェロイド |
Research Abstract |
今年度は生後1週未満の仔マウス(正常マウス)に対する眼窩静脈叢へのCNP発現遺伝子の投与を行い,骨長伸長効果を評価したところ,1週後に平均して2%の伸長が得られた.ただしそれ以降の長期的な効果には乏しく,反復投与が必要と考えられたが,技術的に困難を伴った. 一方他の投与法として,細胞移植の応用を検討した.先行研究で,マイクロパターン化スフェロイド培養基盤を用いて作成した細胞凝集塊にナノミセル型キャリアを用いて遺伝子導入すると,長期に渡って遺伝子発現の得られることを確認した(Drug Deliv. and Transl. Res.2:398,2012).これを細胞移植によるタンパク徐放に応用する目的で,マウス初代培養株肝細胞を用いたスフェロイド細胞凝集塊にルシフェラーゼ遺伝子を導入し,さらにこれを回収しマウス皮下へ注射により移植すると,マウス体内で1ヶ月を超える持続発現が確認された.さらに治療効果の確認として,エリスロポエチン(EPO)遺伝子を導入した細胞移植を行うと,EPO徐放により長期にわたる血球増加,ヘモグロビン増加が得られた.スフェロイド細胞移植は簡便に注射で行うことができるなど,治療用タンパクの徐放を目的とした実用的なシステムとして機能することが明らかとなり,Biomaterials誌にて報告した. 本システムを仔マウスへの遺伝子導入へ応用すべく,異種の細胞移植も可能な,免疫原性の低い間葉系幹細胞(MSC)を用いたスフェロイド細胞凝集塊の作成も試み,同様にナノミセル型キャリアによる遺伝子導入,持続発現が可能であることを確認した. 今年中は,仔マウスに対する同法の応用は予備的な検討に止まったが,CNP遺伝子導入したMSCスフェロイド細胞凝集塊の腹部皮下移植によって,先述の眼窩静脈叢への投与とほぼ同等の骨長伸長効果が得られている.今後当研究室では,本システムの軟骨無形成症治療への応用を目標に,さらに細胞調製条件や投与法の最適化を進める予定である.
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Research Products
(5 results)