2011 Fiscal Year Research-status Report
II型コラーゲンとアグリカンの転写制御に関する研究
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23659713
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
篠村 多摩之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70206118)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 軟骨 / II 型コラーゲン / アグリカン / 転写制御 / 国際情報交流・USA |
Research Abstract |
平成23年度は主に、軟骨細胞に於けるII型コラーゲン遺伝子の転写レベルをコントロールしているシスエレメントの解析を行った。具体的には、独自に開発した「遺伝子発現解析システム」を用いて、全長70 kbに渡るゲノムDNA領域をスキャンし、新たなエンハンサー機能を持った150 bpの配列を同定した。更にこの配列は、単独では非常に弱いエンハンサー活性しか示さないのに、従来から知られているSox 9結合配列と協調的に働いた場合には、II型コラーゲン遺伝子の転写を数十から数百倍に促進することも明らかにすることができた。こうした解析を通して、軟骨細胞に於けるII型コラーゲン遺伝子の発現レベルは、今回見つかった新たなエンハンサーの存在によってコントロールされていることが明らかになってきた。 アグリカンの遺伝子発現制御についても平成23年度後半より解析を始め、II型コラーゲン遺伝子と同様にその転写レベルをコントロールしている新規エンハンサー配列の存在を示すデーターが得られた。ただし現時点では、目的とするエンハンサー配列の最小サイズを確定するまでには至っていない。しかしこれまでに得られているデーターを総合すると、アグリカンの遺伝子発現制御についても、II型コラーゲンと同様に、その発現レベルはSox 9結合配列と新たなエンハンサー配列の協調作用によってもたらされていると考えられる。尚、以上の研究によって得られたII型コラーゲンおよびアグリカンの転写制御に関する新たな発見は、軟骨細胞に関する今後の研究に多大な影響をもたらす非常に重要なものであると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
II型コラーゲン遺伝子の解析については計画通りに進んでいるが、アグリカン遺伝子の解析については若干遅れている。遅れの主な原因は、新規エンハンサー配列を同定するために行ったゲノムDNA断片のサブクローニングに際し、得られたDNA断片の塩基配列が公開されているゲノムDNA情報と一致せず、その原因究明に予想外の時間を取られたことによる。結局のところ原因は、公開されているDNA情報の不備によることが解り、研究は当初の予定より遅れてはいるが、現在は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、まずはアグリカンの遺伝子発現レベルをコントロールしている、新たなエンハンサー配列の同定を完了させる。その後、II型コラーゲンおよびアグリカンのそれぞれの遺伝子内に存在する新たなエンハンサー配列に結合する転写因子の同定を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行に若干の遅れはあるが、当初予定していた研究費の使用計画に従って研究を進めていく。
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