2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659714
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 定雄 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (20202426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 義則 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄付講座教員 (50345279)
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Keywords | 骨代謝 / 酸化ストレス / シグナル伝達機構 / 破骨細胞 / 活性酸素 |
Research Abstract |
世界一の高齢化社会を抱える我が国では、骨粗鬆症患者数は激増しており、骨代謝の全容把握と骨粗鬆症の治療法開発は急務である。活性酸素は生体に非特異的な損傷をもたらす単なる毒性因子ではなく、巧妙に制御されたシグナル伝達機構の担い手であるというコンセプトが広く認識されつつある。生体内の活性酸素シグナル解明は未だ不明な点が多く、とくに骨代謝に対する酸化ストレスの影響は解明されていない。そこで本研究では、骨代謝における活性酸素シグナルの全容を明らかにし、酸化ストレスの骨代謝への影響を分子生物学的に解明することで、骨粗鬆症治療に繋げることを目的としている。PHGPx(Phospholipid Hydroperoxide Glutathione Peroxidase)は、リン脂質ヒドロペルオキシドを唯一直接還元する抗酸化酵素である。本研究では、この酵素の破骨細胞における機能を明らかにする目的で、破骨細胞特異的PHGPx ノックアウトマウス(PHGPx oc-/-マウス)を作成し、その解析を行った。その結果、PHGPx oc-/-マウスは耳介の低形成を示し、それらの個体ではPHGPx の発現レベルが有意に低下していた。また、PHGPx の発現レベルが極端に低いマウスでは、耳介の低形成に加えて破骨細胞数が著明に増加し、破骨細胞マーカーのDC-STAMP の発現レベルが上昇していた。また、頭蓋骨において主に膜性骨の辺縁部に歪曲や形成異常が認められた。これらの結果は、過酸化脂質が、破骨細胞分化の下流に位置するDC-STAMP を制御して、骨組織の膜性骨化や耳介の形成に影響を与えたことを示唆するものである。
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