2012 Fiscal Year Annual Research Report
変形性膝関節症に対する後期糖化最終生成物による半月板変性の影響
Project/Area Number |
23659716
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平岩 秀樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70566976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 忠博 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378198)
濱田 恭 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90566978)
山本 隆一郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80586743)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 後期糖化最終生成物 |
Research Abstract |
変形性膝関節症(以下、膝OA)の予防・治療のため、その発症・進行に関わる後期糖化最終生成物(以下、AGE)と、AGEをリガントとするAGE受容体(以下RAGE)が膝軟骨および半月板変性に与える影響を調査した。 正常膝よりも膝OAの軟骨・半月板でRAGEがつよく発現していることを免疫染色やPCRなどにて確認。またRAGEのリガンドであり、損傷組織より分泌されてOAの進行や修復などに関わるアラルミンの一つであるS100タンパクのうち、S100A12に関しても同様に調査し、軟骨において上記と同様の結果を得た。続いて、AGEやS100A12を、単離培養したOA軟骨細胞や半月板細胞に添加したところ、PCRやWestern BlottingにてOA進行に関与すると考えられる炎症反応や代謝反応の亢進がみられ、これらの反応はMAPKを介するものであることも証明出来た。さらに膝OAの治療薬として広く使用されているヒアルロン酸による炎症反応や代謝反応の抑制効果も示すことができ、現行のヒアルロン酸関節注射はこの系においても有用な治療方法の一つであることがわかった。 このようにAGE、RAGEそしてS100タンパクはOAの軟骨や半月板に多く発現し、炎症や代謝などの反応により、膝OAの進行に強く関連していることが証明された。これらの発現や反応経路をコントロールすることは、膝OAの予防や治療に結びつくと考えられ、例えば膝関節内にも存在しRAGEのデコイの働きをする可溶性RAGEに注目し、その発現を増やすことでRAGE経路を抑制しOAを予防したり、S100タンパクを含めたアラルミンのOA進行でなく、損傷組織の修復に関与する過程を調査して、内在的な修復能力をコントロールすることでOAを治療したりなど、今回の結果により、新しい膝OAの予防・治療法への道がひらけた。
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