2012 Fiscal Year Annual Research Report
血漿・関節液・尿・唾液中マイクロRNAを用いた骨軟骨・靭帯損傷の診断と病態解析
Project/Area Number |
23659719
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉富 啓之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宣 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70397537)
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Keywords | マイクロRNA / 骨折治療 / バイオマーカー |
Research Abstract |
マイクロRNAは哺乳類に存在する内在的機構で、アポトーシスや細胞分化、発生、癌などの多様な生命現象を制御している。血漿中にはマイクロRNAが安定な形で存在する事が報告され、特に癌の分野では癌特異的なマーカーとして有用である事が示されている。我々は血漿だけでなく関節液中にもマイクロRNAが安定した形で存在し、関節リウマチおよび変形性関節症のバイオマーカーとして有用であることを示した。一方で、骨折や軟骨損傷、靭帯損傷における分泌マイクロRNAの報告は少ない。本研究はマイクロRNAの骨関節疾患の病態への関与を解明することで、新たな診断や治療につなげることを目的とし研究を行った。 申請者らは骨折を有する患者の血漿にて変化しているマイクロRNAを網羅的に検索し6種類の血漿中マイクロRNAが健常人と比して有意に変化していることを見出した。このうち血漿中miR-Dは骨折の受傷後24時間で血中濃度がさらに低下していた。miR-Dの抑制が骨折の治癒に関与するかを明らかにするために、miR-Dの発現を抑制する核酸を骨折モデルマウスに全身投与したところ、仮骨形成と血管新生が有意に増加し骨折治癒が促進した。また骨折部局所への核酸投与でも同様の結果を得た。これらの結果は、骨折の治癒過程におけるマイクロRNAの新たな役割を明らかにすると同時に、血漿中マイクロRNAの骨折へのバイオマーカーとしての有用性および新たな骨折治療の可能性を示す。現在までのところ骨折治癒期間の短縮は様々な方法で困難であり、本研究の臨床応用が期待される。
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