2011 Fiscal Year Research-status Report
自己血由来スキャフォールドを用いた運動器組織への分化誘導と再生医療への応用
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23659722
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北 圭介 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30588869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00283747)
前 達雄 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10569734)
樋口 周久 大阪大学, 保健センター, 助教 (40432421)
中村 憲正 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 招聘教授 (50273719)
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191558)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 再生治療 / 膝半月板 / 自己由来スキャフォールド |
Research Abstract |
平成23年度においては、自己滑膜由来間葉系幹細胞あるいは切除後半月細胞を用いた自己由来3次元人工組織作成技術の確立が目的であった。(1)至適条件の検討:ヒト膝関節手術時に切除した組織を0.4%コラゲナーゼ処理し、細胞を採取、通常の培養にて増殖させた。この細胞を、採取した静脈血に混入し、摺ガラス棒で撹拌し3次元人工組織の元となる細胞入りフィブリンクロットを作成した。静脈血20mlあたり2×10*6個の細胞を混入すると95%以上の効率で細胞がクロット内に取り込まれた。この細胞入りフィブリンクロットを2週間培養することにより、横15mm×縦20mm×高さ5mmの3次元人工組織の作成が可能であった。(2)フィブリンクロットの性質:ELIZAおよび免疫組織染色にてフィブリンクロット内にfibronectin, PDGF, VEGF, TGF-b1, FGF2が含まれており、成長因子を含んだスキャフォールドとしての可能性が示された。(3)3次元培養組織の半月組織への分化誘導:TGF-b, BMP-2を用いて分化誘導を行ったが、Type1コラーゲンの発現量は増加するものの、Type2コラーゲンの発現はみられず、現在のところin vitroでの半月用組織への分化誘導はできていない。(4)3次元培養組織の形成方法:これまでは径10mmの摺ガラス棒にて、細胞入りクロットを作成していたが、静脈血採取を200mlとし、ヒト半月の大きさに近い径50mmの摺ガラス棒にて作成すると、半月状の3次元人工組織の作成が可能であった。以上の結果より、3次元培養組織はそれ自身を半月組織に分化誘導して移植することは困難であったが、成長因子を含んだcell delivery systemとして使用できると考え、今後細胞入りフィブリンクロットの動物移植実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度においては、自己滑膜由来間葉系幹細胞あるいは切除後半月細胞を用いた自己由来3次元人工組織作成技術の確立が目的であり、3次元組織作成の至適条件が確立された。またフィブリンクロットが様々な成長因子を含むこと、半月組織自体の形を模倣できる自己血由来のスキャフォールドとして使用できることを確認しており、概ね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
自己由来3次元人工組織が、スキャフォールドとして使用可能であることが確認されたこと、in vitroでは直接半月用組織に誘導することは不可能であったことより、平成24年度には、ミニブタを用いて自己由来3次元人工組織を膝半月板欠損部に補填し、修復状態を確認する。また、細胞を先に取り出して培養と行うと手術が二期的になる。手術侵襲を少なくするため、滑膜組織より細胞を取り出し一期的に自己由来3次元培養組織を作成し半月板欠損部へ補填する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品等:動物実験に使用する手術器械、試薬を追加で購入する。また動物実験を行うためにミニブタの購入、飼育費用が必要である。旅費:動物実験施設に行く費用、研究成果発表のための費用を計上する。その他:成果報告のために、研究会や学術集会への参加費や会場費用を計上する。
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Research Products
(6 results)