2012 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷修復作用をもつヒト型間質系幹細胞の樹立とその医学的応用
Project/Area Number |
23659729
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00308280)
宗宮 仁美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20548713)
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Keywords | 脊髄損傷 / 細胞移植 / 運動機能 / 歯髄細胞 |
Research Abstract |
ラット脊髄組織から誘導したのと同様の手法により、サル 脊髄からFIF細胞(FGF2-inducible fibronectin-positive cells)の誘導を試みたところ、サルの脊髄組織からもFIF 細胞と形態的に類似した細胞が誘導された。このサル由来 FIF 様細胞を脊髄損傷モデルラットの脊髄損傷部に移植したところ、脊髄組織の空洞化は抑制されたが、顕著な運動機能回復効果は認められなかった。ラット FIF細胞と比べ、サルFIF様細胞は ① 増殖速度が遅い、②そのため脊髄組織から細胞が遊走するのに長い期間を必要とする、③ 継代回数を経ないうちに扁平化する細胞が多くみられた。この結果は、FIF 様細胞はサルの脊髄組織からも誘導可能であるが、移植に適した FIF 様細胞をサル脊髄組織から誘導するには、何らかの工夫が必要であると考えられた。 昨年度までに、ヒト歯髄細胞がFIF細胞に類似の遺伝子発現を示すこと、基本培地で培養した歯髄細胞を脊髄損傷モデルラットに移植すると、顕著な運動機能の回復効果を示すことを明らかにした。さらに、特殊な培養法により、細胞の均質性を高めるとより顕著な運動機能回復が認められた。本年度は、異なるヒトドナー由来の歯髄細胞を培養して効果を検討した。その結果、由来ドナーの違いによって、細胞の均質性を高める操作が必要な場合と不要な場合があり、ドナーごとに歯髄細胞の性質が異なることが明らかとなった。しかし当初効果の無い場合でも処理を適切に加えることによって運動機能回復効果が観察された。すなわち、歯髄細胞による脊髄損傷治療効果はドナーの違いによって異なることが明らかとなった。今後、脊髄損傷治療効果に必要な特性を明らかにすることによって、移植する細胞の質保障が可能となることを期待している。
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Research Products
(11 results)